2021年1月に実施される試験から問題が激変しそうだ(撮影:梅谷秀司)

中学、高校、大学入試と本格的な受験シーズンが始まった。

2017年12月18日の旺文社ニュースリリースによると、2018年度大学入試では近年の傾向が継続し、英検、TOEFL、IELTS、TEAP、GTECなど英語外部検定試験を利用する大学は、一般入試で前年比38.2%増加、全762大学中、152大学にまで増えている。

現在の大学入試センター試験に代わって、2021年1月から導入される「大学入学共通テスト」(仮称)では、真に使える英語を身に付けるため、「聞く」「読む」に加えて「話す」「書く」の4技能を評価するとして、外部の資格・検定試験 を活用することになった。その動きを先取りしているわけだ。

プレテストの衝撃

英語の4技能化とともに、大学入学共通テストからの大きな変化として挙げられるのが、記述式問題の導入だ。マークシート式で「知識」「技能」を問うだけでなく、記述式では大学入学段階で求められる「思考力」「判断力」「表現力」が問われることになる。


生徒会の活動規約と会話文を読み、記述式で回答をする(編集部撮影)

昨年12月に大学入試センターが公表した試行調査(プレテスト)の国語の問題では、架空の高校の生徒会部活動規約と学生と教師の会話文、いくつかの資料から状況を理解、判断し自分の言葉で表現することが求められている。

プレテストの内容について、ベネッセコーポレーション大学・社会人事業本部長の藤井雅徳氏は「これまでのように、過去問を解いて暗記してといった反復作業で点数が取れるものではない。生徒会活動、部活動、文化祭などの課外活動に積極的に参加し、課題を解決する力が身に付いているかどうかも評価したいという意向がある」と分析する。

入試改革と表裏一体の教育課程の見直しも文部科学省は進めている。2022年度からの新学習指導要領では、「理数探求」の設置など探求活動、言語活動、情報活用能力の育成が新たに盛り込まれ、さらに数学、歴史、地理などの枠組みにとらわれない教科横断的な探求活動を重視するとしている。

「受験勉強」のように、偏差値が高い大学に入学することを目的とした学習ではなく、課外学習も含めたバランスのよい高校生活を送れば自然と大学入学段階で求められる「思考力」「判断力」「表現力」が身に付く。大学入学後は研究で専門性を身に付け、グローバルに活躍できる人材になる――高大接続改革の理想は高い。

ただ、理想として掲げられた大学入試改革と、それに連動した学習指導要領の改訂が本当に実現可能なのか懐疑的に見る人も根強くいる。記述式への移行に伴っては、個々人の能力を正当に評価できるだけの採点体制を整えられるのかという問題があるからだ。

ある塾の国語講師は前出のプレテストを見て、「採点しやすいように、正解がいくつかに収束するよう導こうとしているからか、資料による定義づけが多い。記述式といってもこの出題形式ならこれまで通り“受験対策”で高得点が可能」だという。

学校現場は対応できるのか

また、英語外部検定試験を活用した4技能評価は、現在中学3年生以下の子どもたちにとっては「受験勉強」の前倒しを意味する。

2021年以降に導入される大学入学共通テストは、現在のセンター試験と同様、1月中旬の2日間の日程で実施されるが、英語外部検定試験を利用する受検者は、認定された試験のなかから、高校3年生以降の4月〜12月の間の2回までの民間試験の結果を活用することになる。

つまり、いいスコアを獲得するには、「高校2年生までにどの大学に入りたいか、そのためにはどの英語外部検定試験でどのくらいの点数が必要かターゲットを決め、対策をしなければならない」(代々木ゼミナール教育総合研究所長の佐藤雄太郎氏)。

長時間労働の改善が喫緊の課題となっている学校現場が、どれだけ対応できるのかという点も疑問だ。新しい入試の全容がいまだ見えない中で、2021年以降の大学受験を目指す子どもたちの中学、高校選びは、現在の大学進学実績がそれほど意味をなさないかもしれない。