神楽坂を歩くと、本格的なフレンチレストランから気楽なビストロまで、多くのフランス料理店を目にする。さらには、その通りを闊歩するフランス人にも必ずと言っていいほどすれ違う。

なぜ広い東京で、彼らはこの街を選ぶのか。神楽坂で最もフランス人客が多い人気ビストロで、この街の魅力を聞いた。



通称「プチ・フランス」と呼ばれる神楽坂。なぜこの街にフランス人は集まってくるのだろうか?

そもそもはここに在日フランス人たちの学校があったため、周辺に住むフランス人が多いことがきっかけになっている。さらに1952年にできた、フランス文化の発信拠点・東京日仏学院(現アンスティチュ・フランセ)の影響も大きいといわれる。



本場さながらの空気を求めてフランス人が訪れる
『ルグドゥノム ブション リヨネ』

神楽坂の中心地、本多横丁にあるミシュラン一ツ星の『ルグドゥノム ブション リヨネ』は、この街のフランス人コミュニティの要のひとつだという。

そこで東カレ編集部がこの店へ潜入し、ディナーを楽しむフランス人に神楽坂の魅力を聞き出した!




パスカルさん(50代・東京在住8年)

「この街は気取りがなくて、心地よく賑わっているフランスらしい店が多いからいいね」




セバスチャンさん(40歳・東京在住14年)

「パリやリヨンの街には神楽坂のような石畳が多いから、落ち着くね」





オーレリアンさん(36歳・東京在住8年)

「シェフが友達で、フランス人同士が集まれる店があるのがいい」




エチュンヌさん(47歳・東京在住17年)

「ここのリヨン料理は本当に忠実で素晴らしいから、自然とみんなが訪れるようになったんだ」



彼らがこの店に集うワケは、こんなところにも!



オーナーシェフのクリストフ・ポコさんが、リヨンの味はもちろん、内装のこだわりや本場さながらのフランクな接客までを忠実に再現したこの店は、まさにフランスそのもの。

道行くフランス人たちがポコさんと挨拶を交わす光景も日常で、「飛行機に乗らなくても来られるフランス」とポコさんは笑う。



色鮮やかな「季節野菜のポトフ」

この日の「季節の肉料理」は、どの具材も丁寧に火が通された「季節野菜のポトフ」。肉厚の豚肉は、口の中でほどけてしまうほど柔らかい。

別々に火入れした具材の上から、食べる直前にスープを掛ける。このスタイルは珍しいが、フランスの家庭の味に近付けた優しい味わい。



フランスから取り寄せたというワインセラー

オーナーシェフのポコ氏は、フランスから取り寄せたカウンターやワインセラー、パリのビストロに多いという螺旋階段を設え、細部までフランスらしさにこだわり店を作った。

祖国を懐かしむフランス人にとって、こういう店は心のオアシスでもある。



ブションとは温かい雰囲気の中で料理とワインを楽しむ場所のこと

小さな店が並ぶさまや路地が縦横に走る景観が、パリのモンマルトルに似ている神楽坂。そんな街を求めてフランス人が集まるからこそ、自然とカフェやビストロが充実し、神楽坂は「フレンチの街」といわれるようになったのだ。