異色の副社長が決算会見に登壇したトヨタの危機感。揺らぐモノづくり
河合副社長は「第一人者を追い越せ、そして自分を越える人を育てよ」とハッパをかける。トップ技能者の匠の技を自動化する限り、技能を高め続けなければ進化も止まる。技能こそ品質や原価低減などの競争力の源泉と認識する。
資料なし会議で即断即決
デンソー副会長から1月にトヨタに復帰した小林副社長も現状に強い危機感を持つ。豊田章男トヨタ社長の上司を2度も経験し、両者は信頼関係が厚いと言われる。
具体例として「某社とも打ち合わせがあり、資料なしでやった。即座に四つくらいの項目が決まり、午後から相手の会社も含めて各部署に展開した」と紹介。「これくらい早くやらないとPDCA(計画・実行・評価・改善)が回らない」と説明し、スピード感の変化を強調した。
「社内は多少混乱しているが、それを承知でやっている」という。この取り組みを定着させて、体質強化や収益力改善につなげる意向だ。さらに、原価を見積もる能力の強化にも言及。
エンジン、駆動部品、ボディーの各部署が個別最適を推し進めるとコストが大きくなるため、クルマ全体の視点で振動の低減手法など抜本的な見直しを進めている。
1月に経理本部長に就任した白柳正義専務役員も、部品メーカーと一体となって進める原価改善活動「RRCI(良品廉価コストイノベーション)」の3期目の活動に触れるなど、17年12月まで調達担当だった経験に基づき、普段はあまり公表しない取り組みも語っていた。
(文=名古屋・今村博之)