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■離れた場所で暮らす老親を見守る方法

親が高齢になると、いくら元気だといっても1人暮らしをさせておくのは心配だ。私自身、母が離れた場所で1人暮らしをしているため、その気持ちは痛いほどわかる。年齢的に、いつ何時体調が悪化するかわからないし、転倒などで骨折をすれば動けなくなってしまうこともある。また、「振り込め詐欺」や悪質な訪問販売、代金引換配達等で勝手に商品が送られてくる「送りつけ商法」など、高齢者を狙った犯罪も多い。

そんなときに利用したいのが「見守りサービス」と「緊急通報サービス」だ。

前者は、いつも通り生活しているか確認するためのもので、後者は、緊急事態が発生したことを知らせるためのもの。多くの自治体で導入している「緊急通報システム」なら、比較的安価で導入しやすいだろう。

これは、消防署や民間の業者と提携し、緊急時に高齢者が通信機の緊急ボタンを押すと、スタッフが救援等に向かってくれる。必要な場合は、協力者や家族に連絡も来る。親の状態や希望によって、必要なものを選んだり、組み合わせて利用したりするといいだろう。

■専属のコミュニケーターが毎週決められた時間帯に電話

元気な親でも、「見守りサービス」を利用すると安心感が増す。テレビのデータ放送や携帯電話、電気ポット、ガス、電気、水道、郵便など、生活するうえで必要なインフラを利用した「見守りサービス」が年々広がっている。仕組みはさまざまだが、基本的には無線通信機器を内蔵した製品を使用すると、その情報がネット経由で離れた場所に住む家族のパソコンや携帯電話に伝えられるというものだ。

たとえば、象印の「みまもりほっとライン i−pot」はその典型。専用の「i−pot」でお湯を沸かすたび、家族に情報が伝えられ、1週間の使用状況もグラフで確認することができる。いつもより著しく使用量が減っている場合、「寝込んでいるのかもしれないな」などと察して、大事になる前に連絡できるだろう。

オペレーターからの電話や訪問など、コミュニケーションを含んだものもある。たとえば、こころみの「つながりプラス」は、専属のコミュニケーターが毎週決められた曜日の決められた時間帯に電話をかける。初回の電話の前には日本全国どこへでもコミュニケーターが訪問し、「顔見知り」になるので、親も本当に「見守られている」と感じられるのではないだろうか。

■「ご近所さん」への挨拶まわりも重要

最近では、無料のスマホ(タブレット)アプリも増えている。アクサ生命の「アーユーOK?」は家族限定のSNSのような機能があり、写真や文章のやり取りができる。GPSで親の現在地を確認できるのはもちろん、緊急事態に家族などへの連絡や消防への通報を行うサービスもある。親があまりに高齢だと、今さらスマホの操作を覚えさせるのは難しいかもしれないが、無料でここまでのサービスが利用できるのはアプリならでは。挑戦しても損はないだろう。

しかし、こういったサービスを導入すると同時にやってほしいのは、親の「ご近所さん」への挨拶まわりだ。私も母に1人暮らしをさせると決めたとき、手土産を持ってご近所に「母をよろしくお願いします」と言ってまわった。こちらの電話番号やメールアドレスがわかるよう、名刺も配ったし、できる限り相手の連絡先も控えた。

自分と同世代のお嫁さんや子どもがいる家庭を見つけたら、特に念入りに「よろしく」と言っておいたほうがいい。年齢が近ければ親近感もわくし、メールなどで気軽に連絡を取ることもできる。すると、自然な形で親の様子を教えてもらえるようになるからだ。

実際、母が急な検査入院で家を空けたときに「ご近所さん」から「お宅が真っ暗なんだけど……」と連絡をもらい、ちゃんと地域ネットワークが機能していることを実感した。「サービス」と「ご近所」の合わせ技が、「見守り」の最高の組み合わせなのだ。

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▼主な見守りサービス
日本郵便:郵便局のみまもりでんわ
毎日同じ時間帯に録音メッセージによる電話があり、高齢の親がその日の体調を電話機の番号で押す仕組み。家族には毎日メールで体調が知らされる。固定電話コースは月額980円(税抜)。

象印:みまもりほっとライン i−pot
無線通信機を内蔵した「電気ポット」の使用状況を、離れて暮らす家族に1日2回メールでお知らせ。ポット自体は普通なので、お年寄りでもなじみやすい。

こころみ:つながりプラス
専属のコミュニケーターが週2回、高齢の親に電話をかけ、その内容を書き起こして家族に報告。初回に担当者が訪問して「顔見知り」になるから話しやすい。月額利用料8000円(税抜)ほか。

アクサ生命:アーユーOK?
高齢の親と家族をつなぐアプリ。親が「助けを呼ぶ」ボタンを押すと、家族や消防へ通報を行う、逆に家族の要望に応え親の安否を確認することもできる。無料(スマホが必要)。

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(CFP、一級FP技能士、消費生活専門相談員 黒田 尚子 写真=iStock.com)