「ママの料理しか食べられない」彼氏と毒母との異常な関係

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 毒親という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 子供の人生を支配し、毒のように悪影響を及ぼす親のことです。

 毒親と一口に言っても、ネグレクト、暴力、精神攻撃などなど、様々なタイプに分けることができます。本間梓さん(仮名・28歳/建築関係)が出会ったのは、過干渉から来る“精神支配型”の毒親でした。

「元カレのお母さんがそうでした。息子が自分の支配下にいないと気がすまないタイプの人です。今思うと、元カレは完全に洗脳されていましたね」

 大学時代に付き合っていた元カレのTくん(当時20歳)は、友達の多い人気者タイプ。おまけに家がお金持ちで、梓さんにはまさに理想の彼氏に見えたそうです。

◆息子を溺愛する上品なお母さんという印象

 そんなTくんのお母さんと初めて会ったのは、付き合ってから3ヵ月後くらいのことでした。

「見た目は、上品なお母さんという感じです。家に遊びに来た私を『よく来たわね〜!』と、明るく迎えてくれたのを覚えています。すごく感じのいいお母さんだなと思いました」

 しかし家に入った途端、Tくんの様子が一変します。それまではいつも通りの会話をしていたのに、お母さんを前にした瞬間から無言。普段明るい性格のTくんなだけに、家の中でのギャップに驚いたと梓さんは言います。

「Tくんのお母さんは、『Tちゃん、学校ではどんな感じ?』『モテてるの?』みたいなことを私にたくさん聞いてきました。なんていうか、小学生の息子を持つ母親みたいな質問なんですよね。一人息子を溺愛しているのが伝わってきました」

◆息子のすべてを監視!お母さんの意外な素顔

 ところが後日、Tくんに家庭での様子を尋ねると、感じの良いお母さんの意外な素顔が見えてきたと言います。

「Tくんが言うには、お母さんは変なところで怒りのスイッチが入る人なんだそうです。

 Tくんがご飯を残したら、一週間無視されたうえに一人だけご飯抜き。部屋の片付けをしなかったという理由で、荷物が全部廊下に出されていたということもあったみたいで、母親の怒りに触れないために、家ではできるだけ大人しくしてるという話しをしてくれました」

 その話をにわかには信じられず、梓さんは「Tくんは、マザコンをこじらせているのだろう」と、気に留めなかったそうです。しかし、付き合っていくうちに、Tくんの背後にいつも母親の影がちらつくように……。

◆毒親の指示で、風呂にも入れず、一晩中リビングに…

「Tくんは、私が料理を作ってもほとんど食べませんでした。理由を聞いたら、母親以外の人が触った食材を食べられないと。ほかにも、Tくんの洋服は全部お母さんが選んで買ったものだったり、出かけるたびにどこにいるかを母親にメール報告してたり。

 口では『母親が嫌だ。早く家を出たい』と言うくせに、お母さんが提案することを全部受け入れているのが不気味でしたね」

 Tくんの家庭は少し変わっているかもしれない、という疑いは、Tくんの家に泊まったときに確信へと変わります。

「お風呂を借りようと思ったときに、Tくんから『それはちょっと遠慮してほしい』と言われたんです。

 理由を聞くと『お母さんから彼女を泊めてもいいけど、家族ではないからお風呂は貸せないし、部屋で寝かせることもできないと言われた』と説明されました」

 結局梓さんは、一晩中、Tくんとリビングにいることを余儀なくされたそうです。

「私が無理に泊めてもらったのならともかく、『泊まっていきなさいよ〜』と言ったのはTくんのお母さんなんです。リビングにいる私たちを見て、『おやすみ〜』といって普通に寝るお母さんの神経も疑いましたし、素直に従うTくんと、私たちにほとんど関心を示さないTくんのお父さんにもゾッとしました」

◆彼と別れた後に母親からメッセージが届いた

 Tくんとの将来が見えないと感じた梓さんは、それから間もなくTくんとの交際を終わらせました。ところが一ヶ月後、Facebookを通じてTくんの母親から梓さんにメッセージが届いたのです。

「内容は、『お元気ですか? この前、梓ちゃんが面白い映画を見たいと言っていたのを思い出したので、オススメの作品を送りますね』というものでした。もちろん返信していません。

 T君に何か言われたのか、それとも別れたあとの私の様子を伺おうとしているのか、色々勘ぐりましたが、いまだに謎です」

 同級生から聞いた話しによると、Tくんは今も実家に暮しており、就職することなくフリーターをしているそう。

「30歳を目前にした今でもお母さんに縛られているのかと思うと、ちょっと可哀想な気はしますね」

 幸せそうなセレブ家庭の闇は、意外なほどに深かったようです。

―シリーズ“モンスターペアレント” vol.1―

<TEXT/木綿わかめ(清談社)イラスト/あらいぴろよ>