2008年のリーマンショックの時は「阿鼻叫喚」の状態だった。今回は「暴落」とは言えず、むしろプロなら笑っているという(写真:ロイター/アフロ)

暴落・・・・・・。と、どこかの経済新聞などが書いていますが、まずは数値をよく見ましょうよ。

エネルギー企業の比率が多いニューヨークダウ(工業株30種平均)、新興企業の多いナスダック指数などはこういう時は大きく動きます。しかし、最も統計的にバランスが取れていると言われているS&P500種株価指数のチャートをみてみましょう。日々のデータも簡単にとれます。

S&P500は暴落なんてしていない


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2月5日のアメリカ市場は売りが売りを呼び、S&P500も2648ポイントまで下落しました。

ちなみに6日の日経平均株価も1000円以上突っ込むわけですが、S&Pの2648ポイントは昨年末の2673ポイントからみれば、ほんのわずかのマイナスです。いったん7日に戻して、8日にアメリカは再び暴落・・・などと言いますが、8日のS&P500は2581ポイントで終了しています。これでやっと、2018年初の2695ポイントからみて4%ほど下落しただけです。S&Pもケタが大きくなってきたのでなんだかすごく下がった気がするのですが、パーセントではこんなもんです。9日は値動きこそ荒かったものの、2619ポイントで取引を終えています。

この程度で暴落というのかどうか、ちょっとジャーナリストとしてよく考えてもらいたい。「S&Pも最高値からみたら10%下落した」などと言うかもしれませんが、長いチャートを見るとお分かりの通り、過去は「10%急落」なんていうのは、珍しくもなんともないのですよ・・・・・・。

まあ、そりゃ、ワタクシは1987年のオクトーバークラッシュ(ブラックマンデー)から2000年テックバブル(ITバブル)崩壊、さらには2008年の金融恐慌(リーマンショック)まですべて体験済みなので、若い方には厳しい言い方かもしれません。

しかし、暴落、というのはこの程度の話ではありません。まさに阿鼻叫喚、昨日までニューヨークのヨットクラブでクルーザーを乗り回していたりした奴が突然ヨットをおいたまま夜逃げするとか、それはもう、あり得ないことが連日起きるのが「経済恐慌的暴落」、というわけであります。確かに年初からは下がりましたが、夜な夜なシャンパーニュを飲んでいるような状況では、暴落もくそもありません。ましてや経済恐慌・・・・・・頭冷やしてもらいたいものです。

話をひと回り前の戌年、2006年に戻します。当時は、まだグッチーポストやこの連載はありませんでしたが、すでに私は個人のブログやすでに連載をもらっていた「アエラ」で「アメリカ経済は、これはまずいぞ」、と警告を発していました。

「金融機関の一つや二つは吹っ飛ぶ、それこそ株式市場の大暴落が来るぞ」、と書いていたところ、リーマン・ブラザーズは本当につぶれてしまい、在籍していたモルガン・スタンレーも倒産寸前で、株価は1ドルまでたたき売られ、私自身、まじで、路頭に迷うかと思ったほどです。多くの友人が行方不明になりました。これがまさに「大暴落」。

しかし、繰り返しますが、今はシャンパーニュが夜な夜な飲まれているわけです。こんな状況で経済が悪いはずはないではありませんか。

アメリカ経済はこれからも成長する

ということで、いつも申し上げるように、アメリカは若年労働人口がどんどん増え続けているので、基本的に経済成長が続かないはずがないんです。実は2000年にはこの若年労働人口が一時的に減少に転じており、私としては2000年にああいう「レバレッジマーケット」の崩壊がなくても、アメリカのバブルははじけたんじゃないか、と今でも考えています。それに関するデータもたくさん揃ってきたので(ビッグデータの充実のおかげですごい数字が集まるようになりました)、そのうちちゃんと論文にしますけど、おそらく間違いないです。

その意味で、アメリカの経済成長は実は鉄板で、株価が下がったとしてもそれは一時的。あくまでも調整の範囲でありまして、長い目でみればこれはこれで良い調整になったのではないか、ともいえるわけですね。最近買った方には申し訳ないですが、こちらは何せ、S&Pで言うと600ドルなんてレベルから買っているわけで(「ウィンドウズ95」が出たころはこれくらいだったのです)、「下がった」、といってもさほどのレベルじゃない。プロの相場関係者なら、この環境下ですから、株価に関しては「もっと下がってくれないかな」、なんてマジで思っているはずです(ほんとにスミマセン)。

ということで、これはまさに待ちに待った調整相場でして、盤石のマクロ経済状況を背に、アメリカはますます経済成長が続きます。「あのドナルド・トランプがアメリカの大統領になっても、全く微動だにしなかった」、という方が、ある意味すごいんじゃないかとさえ思います。

日本は個人として豊かになるチャンスが広がっている

こうしてみてくると、みなさんは「アメリカがいいなら、日本もいいんじゃないか」・・・・・・なんて思っているかもしれませんが、輸出依存率がわずか10%台の日本経済は、基本的には内需に依存するわけで、将来的には実に難しい状況です。

残念ながら、日本は若年労働人口が転げ落ちるように減少に転じていて、半永久的にこれが回復する目はありません。こういう国でアメリカのようにGDP(国内総生産)がガンガン伸びるような経済成長を望む方が間違っているのです。

しかし、誤解しないで頂きたいのは、これもいつも書いているように、「だからといって経済成長そのものが不可能ということではない」ということです。個人ベースで見れば実に豊かな生活を謳歌できる可能性は、むしろ20年前よりも広がっています。いうなれば、これまでのような大手企業(特に上場企業)にはますますチャンスがなくなっている一方で、個人ベースではこれまでより容易に利益を手にする機会は増えており、現にそういう経済成長の動きは見えつつあります。

私の大学や会社での同期たちは、まさにそんな年齢(57歳)かもしれません。もし大手企業にいたらどうなるか。朝の満員列車に毎日ゆすぶられ、休日もなく働き、下手をすると家族とゆっくり過ごす間もない。

ようやく苦労して1部上場企業の役員になったところで、追うべきリスクの大きさにおののき、身動きが取れないという状況で、いかにリスクを回避するかばかりを考えているような状況です。でも、一方では個人ベースでみると、脱サラして成功した同僚も多く、さまざまな収益チャンスが広がっているのです。そりゃ、日本は豊かな国なわけですから、おカネ自体はあるわけで、あとは考え方次第。アメリカ株式市場の動きに一喜一憂している場合ではありません。

では、どうすればいいか!?それはワタクシがときどき開く講演会にいらっしゃれば、いつでもお話しておりますよ(笑)。

さて、ここからは恒例の競馬コーナーです。

競馬はまだG1のような大レースが行われる季節ではありません。しかし、そのG1に向けての前哨戦は始まりつつありまして、週末は東京競馬場で共同通信杯(G3)とデイリー杯クイーンカップ(同)、そして京都競馬場では京都記念(芝2200メートル、2月11日11R、G2)と、3つの重賞が行われます。

京都記念は「ルメールが乗らないレイデオロ」は外し?

もちろん、東京の共同通信杯も、日本ダービーを頂点とする3歳クラシック戦線を占ううえで、目を離すことはできません。しかし何といっても、昨年のG1連対実績馬が6頭も集結した豪華メンバーの京都記念のほうが、ファンとしては注目でしょう。

ただ、馬券的におもしろいか・・・・・・と言われると、これが毎年はっきりいってノーでありまして、過去10年で見ると、1番人気の勝率で3割、連対率では5割と、とにかく、強い馬はそこそこちゃんと来るわけで、G1馬が6頭もあつまっちゃったわけですから、「もう鉄板状態で、穴馬なんて探すのが無駄です」・・・・・・的になるわけですね。

でもね〜、今年はなんというか、「・・・・・・?」なんですわ。

恐らく1番人気は昨年のダービー馬レイデオロ(4歳)ですが、あいにく、というか「わざとではないのか?」とまで競馬ファンのなかでは話題になっているのですが、主戦騎手であるクリストフ・ルメール騎手がよりによって騎乗停止措置で乗れません。「代打」であるダリオ・バルジュー騎手が下手、とはいいませんが、戦力低下は否めませんわね・・・・・・。

こういう、騎乗する騎手が誰になるかによって、「今回は1回休んでもいいや(本番のG1はまだ後だから、大負けしなければいいか)、などというサインだったりするので、要注意ですね。

一方、JRA所属のもう一人の敏腕外国人騎手であるミルコ・デムーロはどうか。こちらは4歳の牝馬モズカッチャン(昨年のG1エリザベス女王杯馬)を選びました。ということで・・・・・・いやいや、もうこれ以上は書けません(笑)。お後がよろしいようで・・・・・・。