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2月5日に発表されたパナソニックの2017年度第3四半期決算。売上高は前年同期比1717億円増の2兆543億円、営業利益も225億円増の1201億円と増収増益の好調を維持した。しかし、報道陣の目下の関心は前期同様に「テスラ」だった。

パナソニックは、テスラ向けに米ネバダ州で2170円筒形リチウムイオン電池セルを製造する「ギガファクトリー」を立ち上げた。この電池が搭載される電気自動車「モデル3」は、昨年7月時点で予約台数が50万台を超えており、パナソニックにとっても収益面で大きな期待を抱いていた。

しかし、7月に生産を開始したにも関わらず、9月までの3カ月で生産したモデル3はわずか260台。第2四半期決算の時点でパナソニック 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 津賀 一宏氏は、「生産の問題が解決すれば、一気に立ち上がるだろう。我々の増産体制も加速することになる」と語って、今期同様に増収増益だったにも関わらず、通期見通しの引き上げを見送っていた。

結果としては今期も増収増益を果たし、通期見通しも売上高で1500億円増の7兆9500億円、営業利益も150億円増の3500億円に引き上げた。ただし、テスラを担当するビジネスユニットを含む二次電池事業部の売上高は、450億円のマイナス修正(4265億円)、営業利益も120億円のマイナス修正(54億円の営業損失)となった。

パナソニック 取締役執行役員 CFO 梅田 博和氏

質疑応答でパナソニック 取締役執行役員 CFO 梅田 博和氏は、「今回、売上と営業利益の下方修正は、モデル3(電池)の修正によるもので、(下げ幅は)倍額あった」と語った。つまり、テスラ関連で売上高の見込みが900億円マイナスのインパクトがあったことになる。

○テスラ自身は前年比で赤字幅が拡大

事業部全体では、角型車載電池事業が従前からのOEM向け製品で量産が順調に伸長しており、増益に寄与。また、動力系の売上が期初想定より伸長したことで、着地は半額の450億円の減収、120億円の減益にとどまったという構図だ。では、この"出血"はいつまで続くのか。

パナソニックは、これまでもモデルXやモデルSに対して円筒形リチウムイオン電池セルは提供してきた。つまり、テスラ全体の問題というよりもモデル3の問題ということになる。モデル3はテスラにとっての"普及車"であり、生産コストを抑えるために野心的な製造工程の自動化を目指していた。

ただ、電気自動車の中核をなすリチウムイオン電池は、サムスン電子「Galaxy Note 4」の発火事故の記憶に新しいように、発火リスクが存在する。製造工程ではなおのこと、慎重に作業を行わなければならず、ここの製造自動化に手間取っているというのが実態だ。

7〜9月期の時点で生産台数が260台止まりだったにも関わらず、第2四半期決算発表時に見通しを引き下げられなかった理由は、テスラ自身が生産見通しを具体的に示せず、「流動的だったため、影響額を読みきれなかった」と梅田氏は語る。テスラ自身は1月に最新の生産状況を公表し、10月〜12月の納車実績が1550台と前四半期よりも伸長したものの、当初の7〜9月期の計画にも満たない数字だった。

ただ、同時に3月末までには週あたり生産台数を2500台まで引き上げると表明し、6月末までには当初2017年内に達成するとしていた週あたり5000台を生産する予定だという。なお、テスラ自身も2月7日に2017年通期決算を発表。売上高こそ前年比68%増の117億5875万ドル(約1兆2795億円)だったが、営業損益の赤字幅は前年の6億6734万ドルから16億3208万ドル(1775億円)までさらに拡大している。

そうした事業環境の中、テスラは投資の元手となる資金調達を行った。モデルSとモデルXのリース債権を証券化し、今月始めに5億5600万ドル(約607億円)を調達している。"綱渡り"とまではいかないものの、設備投資を継続しなければならないテスラが、3月末の週産2500台、6月末の週産5000台目標を達成できるのか。パナソニックにとっては気を揉む日が続きそうだ。

○3月の100周年を飾れるか

とはいえ、会社全体では増収増益を果たしているように今のパナソニックは強い。二次電池事業部も車載向け角型電池は日本や中国・大連で工場の拡大・増産体制を敷いており、「来年度以降に貢献」(梅田氏)という状況。前述の通り、売上高、利益の両面でマイナスをカバーしていることからも、旧三洋を含む電池事業の底力が見て取れる。

利益面ではインダストリアル事業で、車載向け、メカトロが大きく貢献し、100億円ほどの貢献となった。また、アメリカで法人税が34%から21%へと見直された影響などで、純利益は期初の通期見通しである1600億円から500億円増の2100億円へと修正した。円安による利益貢献はあるものの、為替影響を除く実質ベースでも第3四半期の成長率は106%と力強さを持つ。

「確かにアメリカ(テスラ)のマイナスがあるものの、上積みできたのはその他事業が当初見込みよりもしっかり稼いでくれているため。期待したところは稼いでくれなかったものの、それ以外が想定以上に稼いでリカバリできた」(梅田氏)

テスラの状況次第では、そしてその他事業の「想定以上の稼ぎ」が継続するようであれば、パナソニックは創業100周年となる3月を万全の態勢で迎えられそうだ。