世界中のセレブが集まる、シンガポールのセントーサコーブ。 FPの筆者は超富裕層と交流、「なぜ彼らはおカネが貯まるのか」がわかった。実は、普通の日本人こそ見習わないといけないかも(同地にある会員制クラブ、筆者撮影)

おカネが貯まらない人は、必ず何らかの理由があります。しかし、大金持ちになる人にも、やはり理由があるものです。

「超富裕層」ほど実はメチャクチャ質素な生活をしている?

私は今シンガポールで暮らしているのですが、同国は金融資産が1億ドル(約110億円!)を上回る「超富裕層世帯」の割合が、香港(10万世帯あたり15.3世帯)に次いで世界2位(同14.3世帯、2015年のボストンコンサルティンググループの世界の家計金融資産に関する調査)。実際、私の子どもが通うインターナショナルスクールや、夫が通うエグゼクティブMBA(経営学修士)スクールなどでは、世界各国の富裕層の人たちと接する機会が結構あります。

なかには不動産価値が数十億円もする物件を所有し、フェラーリなどの高級車を複数台所有、メードや運転手など使用人も複数いるなど、文字どおりケタ違いのお金持ちも少なからずいます。その多くは、インドや中国など、発展著しい自分たちのホームグラウンドで、会社経営をしている人たちです(シンガポールには、子どもの教育のために来ているわけです)。

超富裕層の自宅に招かれたり、泊めてもらったこともあるのですが、意外なことに、長時間生活を共にして、見えてきたものは、「超富裕層の日常の暮らしは、ごくごく質素」だということです。

日本はまだとても寒いということですが、読者の皆さんの中には、「痩せようと努力しているのに、寒いのでなかなか減らせない」と嘆いている人もいるかもしれませんね。ダイエットと言えば、「低糖質ダイエット」。短期間で効果が出ることも多く、世界中で人気です。

この方法は脂肪となる糖質を極限まで減らし、タンパク質など筋肉になるものを積極的に食べるわけですが、実は「支出を減らし、おカネを貯めること」もダイエットに似ているのです。特に超富裕層は「糖質」のような「無駄な支出」は極限に減らし、「タンパク質」的な「資産価値の増えるもの」だけにおカネをかける。こうした生活を習慣化しており、子どもにも必ず引き継ぐので「なるべくしてお金持ちになっている」のです。

「今日もなんか結構おカネが出ていった、一つひとつの費用は少ないんだけど、無自覚に支払ってしまったみたい」。皆さんはこんな経験はありませんか。毎日のカフェ代などがこれに当たるのですが、こうした支出はカフェラテにちなんで『ラテマネー』と言われます。名付け親は米国の資産アドバイザーのデヴィット・バック氏。私は年末年始にかけて日本で過ごしましたが、コンビニやカフェなどでポロポロおカネを落としている日本人は多く、脇がまだまだ甘いと感じました。なにせ、超富裕層はラテマネーが限りなくゼロに等しいのです。

外出時は飲み物持参、財布を持たないインド人富裕層

特にインド系で、しかも身分が高い超富裕層はその傾向が著しいのです。

たとえば、飲み物は家から必ず持参しますし、忘れると、「あ! しまった」といってわざわざ取りに戻ることも多いのです。しかも、ちょっと出掛けるときは、財布を持たないことも多く、おカネを使っているのをほとんど見たことがありません。今まででいちばん驚いたのは、私と一緒に入ったカフェで、「ノーオーダー(注文なし)」だったこと。「お腹がすいていない」ということで、私がオーダーしたサンドイッチを少しつまんでいました。

また、こんなこともありました。「一緒にカフェに」というので、どこのカフェまで歩いていくのかと思ったら、銀行のラウンジに入っていきました。外資系銀行などの場合、一定以上預金があると無料でコーヒーやクッキーが食べられるラウンジを用意していることが多いのですが、本当によく利用します。また、会費を支払うと食事などを安価な料金で楽しめる会員制クラブに入っている人も多いのですが、そうしたクラブはまさに使い倒し。「これくらい使えば、完全に元が取れそう」と感じます。

食べ物や飲み物などに無駄遣いをしないというだけではありません。超富裕層と一緒に生活をしていると、時間も規則正しく(子どもを寝かしつける時間は夜7時などと決めています)、こうなると「僧侶に近い生活」だと感じることすらあるのです。

しかし、このように普段はケチケチしている超富裕層も、それこそ惜しみなくおカネを投じる場面があります。前出のように、「資産価値がある有形無形のもの」です。

転売価値のある高級車や時計、資産価値が高い金や大きな粒のダイヤモンド、値上がりが見込まれる不動産などなど……。超富裕層の妻ともなると、大きな粒のダイヤモンドのピアスや指輪をして、エルメスのスカーフに身を包んでいる、といった人が本当に多いのです。


港に停泊する高級クルーザー。超富裕層は良いものを買うのに妥協しない (筆者撮影)

なぜ超富裕層は最高級のものにこだわるのでしょうか。それは実に合理的な考えに裏打ちされています。たとえば、より高級なものに買い換えていくのに使う「無駄な費用」がほとんどかからないからです。また、たとえば不動産などが代表的ですが、しっかりした物件を買うので、売却するときには価格が落ちにくく、上がることだって珍しくありません。超富裕層といえども不要品は中古市場で売ることもあるし、逆に買うこともあります。投資と同じで、買うときは必ず転売価値も考えながら購入しているのです。

しかも、必要なもの以外は買わないので、ショッピングにかける時間も非常に短いのです。目的があり、欲しいものがわかっているのでほとんど一瞬で決めてしまいます。一般の日本人のように、ウィンドウショッピングを楽しむなどということはあまりしません。時間も本当に無駄にしないのです。

教育・交際費・バカンスにカネをつぎ込む超富裕層

「おカネを持っているのに、そんな暮らしをして、どこが楽しいの?」と突っ込まれそうですが、子どもの教育と交際費とバカンスには惜しみなくおカネを注ぎ込みます。自国以上によい教育があるのであれば、母子留学をしたり、子どもをボーディングスクール(全寮制の学校)に送り込むことも当たり前。「教育こそ、次世代を育てるための最重要の支出」だと認識しているからでしょう。


友人のセレブが日常的に使っているプライベートビーチ(筆者撮影)

また「社交命」のところがあって、交際費にも「集中投資」をします。仕事などにつながるのであれば、社交クラブなどの権利は高くても買っている人が本当に多いのです。ビジネスをしている場合、お互いに仕事を回し合う機会も多いので、あらかじめ会員制クラブで頻繁に顔を合わせておきたいのでしょう。さらにバカンスは普通の日本人がかなうレベルではなく、ハンパない。子どもの学校の休みに合わせて世界各国のリゾートに長期間滞在します。買い物を楽しむというよりも、余暇をぜいたくに楽しむことにおカネを使っているのです。

このように、超富裕層のおカネの使い方はメリハリがあり、「使うときは使い、使わないときはまったく使わない」という特徴があることを知っていただきたいのです。超富裕層に学ぶのは今日からでも遅くありません。私もそうなのですが、ついつい日常、ほぼ無自覚に使っているラテマネーを極力削るところあたりから、始めたいものです。