昨年3月、国会で答弁する佐川氏(参議院インターネット審議中継より)

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 まったく、よくヌケヌケとこんなことを堂々とやれるものだ。本日、財務省が国会に対し、森友学園との土地取引にかんする文書を提出した。その数は20件、なんと300ページにもおよぶ文書だ。

 奇しくもきょうは、森友学園への土地売却額が非公表になっている事実を朝日新聞が報じてからちょうど1年になる。その後、国会では再三にわたって財務省に文書の提出を求めてきたが、現国税庁長官である佐川宣寿・前理財局長は、国会の答弁で「破棄した」と断言。その上、会計検査院の調査にも提出しなかったのに、いまごろになって300ページも出してきたのだ。しかも、提出されたのは、安倍首相が平昌五輪開会式出席のために韓国へ飛び立った直後というタイミングで、である。

 文書のその内容については精査がおこなわれている最中だが、きょうの衆院予算委で麻生太郎財務相は「近畿財務局内の法律相談の記録であり、森友学園との交渉記録ではない」と答弁。しかし、1月19日に開示された近畿財務局の文書では、森友サイドがゴミが見つかったとして「開校が遅れたら大変なことになる」「土地を安価に買い受けることで問題解決を図りたい」などと財務局にもちかけており、売却担当者は「国は貸主として法的にどういう責任を負うか」と法務担当者に質問するなど、交渉の一端が窺い知れる内容が含まれていた。

 こうしたものを「交渉記録ではなく法律相談の記録」と言うのはゴマカシでしかないが、これほどまでに文書を提出してこなかった理由を、麻生財務相はきょう、このように答弁した。

「財務省に不利な情報が入っているわけでもありませんし、早めに出しても何ら不都合のない文書」

 この答弁、裏を返せば「財務相に不利な情報が入っていれば出さない」と言っているようにも聞こえるが、これが本音なのだろう。実際、これだけ文書が出てきていながら、直接的な交渉記録が出てこないとは、あきらかに不自然だからだ。

 事実、先日新たに共産党が入手した森友側と国側の協議の様子が収められた2016年3月16日のものとみられる音声データでは、出てきたゴミについて国側が"新たなゴミ"であるとし、「後から出てきた場合は(国の)瑕疵になる」と発言。これには、国側が退室したあとに籠池夫妻と設計担当者も「(新たなごみがあると)『うん』と言ってほしいように言っていた」「今日のあの解釈すごいと思う」と驚く場面さえ残されていたという(東京新聞2月3日付)。籠池夫妻さえ驚嘆する解釈で8億円の値引きに導いたのは、財務省にほかならない。

 しかも前述したように、佐川前理財局長は記録について「破棄した」と断言してきたのだ。その佐川氏を国税庁長官に据えたことを安倍首相は「適材適所」と言って憚らないが、これでは確定申告に影響が出ても致し方がないだろう。

 一体いつまで安倍首相と麻生財務相は"佐川隠し"をつづけるつもりなのか。確定申告が開始される2月16日には、佐川国税庁長官の罷免を求める緊急デモが国税庁周辺で展開される予定だが、佐川氏をもう一度、国会に引きずり出すには、ここで国民の怒りを見せつける必要があるだろう。
(編集部)