昨秋、赤坂に誕生した新しいランドーマーク「赤坂インターシティAIR」。話題のショップがひしめく中、「お帰り!」と声をかけたいのが「ロウリーズ・ザ・プライムリブ赤坂店」。

 

お帰り……っていったいどういうこと? かつて、ここには「赤坂ツインタワー」というビルがあったのをご記憶だろうか。地下の広大な空間に、日本初のプライムリブ専門店として「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」があったのだ。

 

残念なことに2014年、赤坂ツインタワーの老朽化・解体・再開発とともに「ロウリーズ」は恵比寿へと移転。ところがこの「赤坂インターシティAIR」の登場によってこの地に復活。それを祝して、当時の様子と新たな「ロウリーズ・ザ・プライムリブ赤坂店」についてお話ししよう。

 

これぞ、アメリカンスタイルのローストビーフ!

移転先である恵比寿店(もちろん現在も営業中)でも、同じメニューを食べられるとはいえ、“日本のロウリーズ”の原点=赤坂への帰還はうれしいもの。と言ったところで、知らない人にはなんのこっちゃ、だろうから、まずは「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」について。

 

来年で創業80周年を迎える「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」は、1938年、アメリカ・ロサンゼルスはビバリーヒルズに誕生した、その名の通り“プライムリブ”の専門店。

↑本国の「ロウリーズ」。乗ってきたクルマを自分で駐車場に停めることなく、預けてそのまま食事をできるというスタイルをつくったのも、「ロウリーズ」が最初だった

 

プライムリブとは、すなわち“高品位なリブロース”のこと。リブロースとは“牛の背中の、肩の方に寄ったあたり”を指し、やわらかく適度な脂身のある部位である。肋骨の付いたロース肉といえばおわかりだろうか。この質のいいリブを存分に食べられるレストランが「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」で、プライムリブ=ローストビーフというほど、アメリカではポピュラーな料理である。

 

ここで、日本のローストビーフを思い出してみてほしい。近頃はローストビーフ丼なるものも市民権を得ているものの、薄くスライスしたローストビーフを薔薇のように盛り付けた姿と、「ロウリーズ」のプライムリブはまったく異なる。その見た目は、超レアに火の通った大きなリブステーキといったところ。なんといっても分厚く、表面積が広い! さすがはアメリカ、やっぱりビッグなんだねぇ。

 

そんなアメリカ伝統のプライムリブ専門店が、日本に初上陸したのは、今からさかのぼること16年前の2001年。同店を地下に擁した赤坂ツインタワーへは、最寄駅の赤坂や溜池山王から歩くのではなく、“タクシーで乗り付ける”、そんなスタイルが日常的だった。設えは、本国「ロウリーズ」同様、ゴージャスでクラシカル。ドレスコードというわけではないけれど、Tシャツ&ジーンズなんてのはご法度。それなりの“オシャレ”をして出かけるレストランだったのだ。

↑本国のダイニングフロア。広々と余裕のあるスペースに大きなテーブル、エレガントにカーブを描くソファがゴージャスだ

 

↑本国のアーカイブより、ウェイティングバー

 

創業以来変わらない“伝統”が目白押し

さて、3年ぶりに復活した赤坂店へ行ってきた。かつては地下へと歩むところ、エスカレーターで上階へ。お店のコンセプトとメニューは当然変わらないものの、アプローチの違いで、印象がぐっと変わるもの。……これはこれで新鮮だ。

 

だが、ウェイティングバーとして利用できる「フランクバー」に足を踏み入れた途端、「帰ってきたな」という気分に。インテリアこそまったく異なるものの、ロウリーズがロウリーズたる雰囲気というものが全体から滲み出ている。

↑赤坂の新店。まず目に飛び込んでくるのは、ウェイティングスペースでもあり、食後の一杯を楽しめる「フランクバー」。ビル内の共有ラウンジとしての顔も持つ

 

↑新店の、天井高5メートルの堂々たるダイニングスペース。インテリアは山際順平氏、照明はDavid Singer氏がデザインした

 

サービスしてくれるウェイトレスのコスチュームも変わらない。それどころか、これは本国の創業当時から変わらないデザインなのだ。

↑1938年に撮影された、クラシカルなスタイルのコスチューム。今も同じく、アメリカの伝統を感じさせる

 

コスチュームに限らず、もっとも大事な肉の質、そして調理法、さらにテーブルの大きさや動線まで、本国と同じ。広々としたスペースには、“シルバーカート”という可動式調理器具と“カーヴァー”というお肉をカットしてくれるシェフが待機しているのも同様だ。

↑伝統的な提供システム。独自の調理器具“シルバーカート”とプライムリブをカットしサービスするシェフ“カーヴァー”

 

さて、久しぶりのプライムリブにはやる気持ちを抑え、スパークリングワインで喉を潤していると、サービスマンが「当店、創業以来のオリジナルメニューです」とやって来た。これまたお約束のサラダ(コースに組み込まれている)「オリジナル・スピニング・ボウルサラダ」の登場だ。このパフォーマンスも「ロウリーズ」の魅力のひとつだろう。ワゴンの上には氷の入ったボウルがあり、その上にサラダの入ったボウルがあって、このボウルをクルクルと回しながら頭上からドレッシングを注ぎ、丹念に和えるのである。

 

じっくりマリネされた贅沢プライムリブ

クラムチャウダーも平らげ、胃袋もすっかり準備万端となったところで、ようやくお待ちかねのプライムリブ! ついに“シルバーカート”がやってきた。

 

ロウリーズ特製のスパイスをたっぷりともみ込み、じっくりと時間をかけて焼き上げられた「骨付きリブロースの塊」がタテに3本、そびえ立つ様子は圧巻のひと言。

↑新店でも、ロウリーズらしいアイコンのひとつ、シルバーカートは健在

 

↑カートの中では、適温に熱せられたリブロースの塊がいくつも鎮座し、カットされるのを待っている

 

肉の銘柄は、肉ラヴァーの間ではすっかりおなじみのアンガス牛。和牛では味わえない、牛本来の旨みを実感できるはずだ。アンガス牛をはじめ、いわゆる赤身牛は噛めば噛むほどおいしさが広がるのだが、ロウリーズのプライムリブは、噛み応えがありながら、スーッと口中にほどけていくよう。そのままでも充分すぎるほど旨みが濃厚で、つられて酒も進んでしまう。

 

それに、オリジナルのオウジュソースがまたよく合うこと!。塩と胡椒も用意され(これまたロウリーズのオリジナル。創業当時からレシピは変わらずだ)、さらには薬味としてホースラディッシュもたっぷりと。味を少しずつ変えて食べ進むうちに、すっかり満腹となった。

↑プライムリブのほか、オリジナル・スピニング・ボウル・サラダ、ヨークシャープディング、マッシュドポテト、ホイップドクリームホースラディッシュがセット

 

ちなみにカットの大きさ(厚さ)によって名前が変わることも付け加えておこう(もちろん値段も変わる)。ディナーでは、トーキョーカット(約120g)、カリフォルニアカット(約180g)、イングリッシュカット(約240g)、ロウリーカット(約300g)、ダイヤモンド・ジム・ブレーディカット(約500g強)の5種類。「たくさん食べたい!」と思ってはいても、サイドディッシュとして、マッシュポテトにクリームドコーン、クリームドスピナッチ(ほうれん草)がもれなく付いているので、そうそう大きなカットは選べないが。

 

さらには、プライムリブから出た脂を使って焼き上げられた「ヨークシャープディング」もセットされているので、食べ応え度はかなりのもの。この後、デザートにコーヒーといただいて、至福の時間はあっという間に過ぎていったのだった。

 

ゴージャスな空間で、おいしさとエンターテインメント性を兼ね備えた「ロウリーズ」が、まさにここに復活した! となると、「かなりお値段が張るのでは?」という危惧もあるだろうが、それはご心配なく。「オリジナル・スピニング・ボウル・サラダ+プライムリブ(トーキョーカット)+マッシュポテト+クリームドコーン+クリームドスピナッチヨークシャープディング」ならば4000円(税、サービス料金別)で食べられる。

↑初来店ならば、このセットメニューがおすすめ。アメリカンスタイルの分厚いローストビーフ、しっかりと食べ応えのある付け合わせなど必食のメニューだ!

 

ということで、意外にもお手ごろな「ロウリーズ・ザ・プライムリブ赤坂店」へ、貴兄も出かけてみないか?

 

撮影/GetNavi web編集部 写真提供/ロウリーズ・ザ・プライムリブ