自動車や産業機器向けのマイコンを生産するルネサスの那珂工場=茨城県ひたちなか市(同社提供)

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 半導体大手のルネサスエレクトロニクスは9日、平成29年12月期の連結売上高が前期比22.1%増の7802億円と4年ぶりの増収になったと発表した。

 リストラが一巡し、半導体市場の活況で収益力も高まってきたことが業績を後押しした。だが、世界の半導体業界では大規模買収が立て続けに起きており、今後は競合に対抗するためのM&A(企業の合併・買収)が焦点になる。

 営業利益は11.3%増の784億円、最終利益は41.9%増の771億円だった。主力の自動車向け半導体が好調で、呉文精社長は9日の電話会見で「相当追い風が強かった」と述べた。

 ルネサスは日立製作所、三菱電機、NECの半導体部門を統合する形で誕生した22年当時、過剰な設備や人員を抱え、最終赤字が続いた。しかし大規模な人員削減や不採算事業の撤退を進め、5年目で最終黒字に転換。昨年3月には同業の米インターシルを3200億円で買収し、再建から成長へと舵を切っている。

 一方、リストラで売上高は4割縮んでおり規模拡大が不可欠。ルネサスは中期計画では、市場成長率の2倍の年率8〜9%での売上高拡大を目指す。自動車を制御する半導体のマイコンでは、処理能力を増やして消費電力も少なくなる微細化技術で「2年以上他社をリードしている」とされ、倍速成長にも自信を示す。

 だが、思惑通りに成長するのは容易ではない。世界の半導体大手は数兆円規模の巨額買収により、成長分野の自動運転などに必要な技術や製品群を急速に手中に収めているからだ。

 蘭NXPは約3年前に米フリースケールセミコンダクタを約1.4兆円で買収し、車載半導体でルネサスを抜いてトップになった。しかしその後、米クアルコムが、そのNXPを約5兆円で買収すると表明。さらには、米ブロードコムがクアルコムに約13兆円で買収提案し、クアルコムが今月8日に拒否するといった応酬も続く。

 競合の巨大化で国際競争は厳しさを増す見通しで、呉社長は「M&Aは選択肢として常に考えている」と述べた。ルネサスも1月末に同業の米マキシム・インテグレーテッドを約2.2兆円で買収する方向と米国で報じられた。ルネサスは報道を否定したが、電圧制御用のアナログ半導体メーカーを候補にM&Aの議論を活発化させているのは事実で、次の一手が注目される。