ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)は、彼らが大きく掲げている「有料購読者1000万人」という目標を達成するため、あらゆる部門での努力を行っているようだ。ニューヨーク・タイムズの長文記事で使われるインタラクティブ要素を担当しているインタラクティブニュース部門も例外ではない。

数カ月前に、インタラクティブニュース部門はニューヨーク・タイムズのコンテンツを読者に通知するためのGoogle向け、Apple向けのカレンダーをローンチした。2016年のリオオリンピックでは携帯電話のテキストメッセージで通知を受け取るサービスの実験を行ったが、今年はそれをアップデートしたプロダクトをローンチする予定とのことだ。彼らが持つ読者ベースとつながるため、すでに存在するリーダーセンター(Reader Center:※詳細は後述)の改善にもインタラクティブニュース部門は関わっている。これらすべての基盤となっているのは、読者のロイヤリティーを育て、同紙の閲覧を習慣として確立してもらえば、有料購読とつながるだろうという考えだ。

インタラクティブニュース部門のディレクターであるベン・コスキー氏は「部門発足当時は、インタラクティブはアドオン(追加で付け加えられる機能)のように捉えられていた。それを読者とのエンゲージメント改善という方向性にシフトさせた。1回限りのやり取りではなく、継続した読者同士の交流を中心に据えている」と語る。

新しいニュースの形



コスキー氏のチームがやりとりをする部門は複数になる。ニュースデザイン部門、グラフィック部門などがそこに含まれる。ニュースを伝える新しい方法を見つける手助けとなることが、彼らの仕事だ。

トランプ大統領による一般教書演説会の際は、リアルタイムのチャットを開設。このようにインタラクティブ要素が読者に対して前面に出てくるような機会もある。リアルタイムに選挙の結果をアップデートするプログラムといった、社内向けのツールも開発した。

そんな彼らのチームが最近取り組んでいるのが、読者に習慣を身に付けてもらうためのプロジェクトだ。ニューヨーク・タイムズの読者が持つ幅広い興味関心全体に対応できるようなプロダクトを構想している。例のひとつに、スペースカレンダーという8月にローンチされたプロダクトがある。天文学の分野における大イベントをユーザーに通知してくれるこのサービスは、8万人の登録者を集めた。このプロダクトは、コスキー氏たちによってニューヨーク・タイムズ・ブック・レビューにも応用された。

有料購読という目標



インタラクティブニュース部門によるプロダクトがどれだけ有料購読者数の増加につながっているかを示す社内数値はない。この点は、ニュースレターと大きく違っている。彼らの役割は、あくまでも読者のエンゲージメントを高める方法を見つけることなのだ。

もちろん、コスト面での効率性は求められる。前述の2016年リオオリンピックにおける携帯メッセージサービスや、ニューヨーク・タイムスによるポッドキャスト「ザ・デイリー(The Daily)」のホストからメッセージを受け取るプログラムはエンゲージメントという点では非常にパフォーマンスが良かったが、コストが大きくかかってしまった。コスキー氏は「携帯メッセージはとても高価だ。もっとスケールできる何かを作ることを考えている」と語った。

記事や配信に、より読者を関わらせていくためのプロジェクト「リーダーセンター」は昨年の春にローンチされた。それにもコスキー氏のチームは一緒になって取り組んだ。読者たちにそこで情報やコンテンツをシェアしてもらうことで、ニューヨークタイムスがそれを活用し、有料購読登録へとつなげることが目標だ。

「読者の写真やコメントを集めるといったことに加えて、リーダーからのリクエストは業務的なものとして以前は捉えられていた。しかし、こういった読者からのアウトプットは『彼らから招待されている』のだと捉えるようになった。これは我々が社内で取り組んできた変化のひとつだ」と、コスキー氏は語った。

Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)