関西大学学長・芝井敬司氏

写真拡大

 2016年に創立130周年を迎えた関西大学は現在、20年後の150周年に向けた将来像を掲げている。同年10月に就任した芝井敬司学長は、「基本は目の前の課題を乗り越えていくこと」と地盤固めに力を入れる。長期的な方針を固めつつ、変化の激しい現代社会へ対応する施策を聞いた。

 ―時代を乗り切るための関西大の使命は。
 「大学は知を扱い、創造と継承、開放、交流を行うところだ。具体的には研究と教育、社会活動、国際活動にあたる。これらの質の向上のため当学では、17年2月に内部質保証の方針を定めた。教員や職員などの個人、学部や部局などの組織、全学の3段階それぞれでPDCAサイクルを回し、取り組みの水準確保に努めている」

 ―大学の知を社会で生かすには何が必要でしょうか。
 「起業家育成に力を入れる。梅田キャンパス(大阪市北区)にスタートアップカフェ、千里山キャンパス(大阪府吹田市)のイノベーション創成センターにベンチャーオフィスを整備した。近くベンチャーキャピタルを設立し、持続的な支援を行う。『アイデアを形にして伝えたい』『研究成果で社会の問題をクリアしたい』という気持ちを後押しする」

 ―学生の確保に向けた方策は。
 「18―22歳以外の大学生を増やしたい。20代で教育が終わるのは世界から見れば不思議なことだ。社会人のキャリアアップや退職後のリスタートなど、さまざまな形が考えられる。大学は青年のためだけに存在するわけではない。高等教育は開かれているべきで、いつでも大学に出入りできる環境を整えたい」

 ―その一環が社会人向け講座拡充です。
 「勉強が当たり前になるような種をまきたい。ただ、人口の多い東京に比べ、大阪で受講者を集めるには工夫が必要だ。企業の協力も大切。現状は大学院があまり評価されていないと感じる。人を送り出してくれるようになれば現在と違う教育のサイクルができる」

 ―大学同士の連携も教育のカギです。
 「協定を結ぶ大学は36カ国156校。17年9月には法政大学、明治大学と国内留学や単位互換制度に向けた協定を結んだ。今は1大学で完全な教育を目指すのは限界。欧州では学びたい内容に応じ学生が大学間を動く。日本の大学のあり方を少しずつ変えたい」
(聞き手=大阪・安藤光恵)
【略歴】しばい・けいじ 81年(昭56)京大院文学研究科博士課程退学、同年京大文学部助手。84年関西大文学部専任講師、87年助教授、94年教授、02年文学部長、06年副学長、08年常任理事、10年理事、16年学長。文学博士。大阪府出身。62歳。