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●働き方改革に一石を投じる試み

近年、働き方改革に取り組む企業が急増している。その裏には過度な労働時間、硬直した人間関係、企業による内部留保による労働条件の悪化などといった“負の要素”がある。こうした労働環境を見直す意味で改革に取り組んでいる企業も多い。

働き方改革は、当初は「ノー残業デー」や「勤務時間の時短」、「リフレッシュ休暇」などの考え方が主流だった。それが、少しずつ姿を変えてきている。

○働きやすいオフィス空間を庭球する企業が増加

たとえばオフィス空間。高度経済成長期からバブル期にかけては、島形にデスクをレイアウトし、その端に上長の席があるというスタイルだった。それプラス、小分けにした会議室や打ち合わせルームを併設させ、ミーティングをそうした空間で行うというのが、現在まで続く主流のオフィスだ。

ただ、ここにきて、少しずつ変革の波が押し寄せている。その最たる例がABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)だろう。これは、自分のデスクや席を用意されながら、集中したいときはコワーキングスペース、軽く雑談したいときはスタンディングテーブルといったように、自由に働き場を選べるオフィス。米グーグルで導入されていることで知れわたってきた。コクヨといったオフィス什器のメーカーも推奨している。

さらに面白いのは、「キャンピングオフィス」という取り組みが少しずつ浸透してきていること。2017年の秋、川崎市や東急電鉄、スノーピークビジネスソリューションズが中心となって多摩川の河川敷にテントを設営し、流域の企業がそこで打ち合わせなどを行うという試みを取材した。まだ、実証実験という段階だったが、テント内で打ち合わせなどを行った参加企業からの評判は上々だった。

●オフィスキャンパーズは広がりをみせるか

そしてこの取り組みはさらなる広がりをみせる。2018年1月下旬、都内某所で「オフィスキャンパーズ」のイベントが開催された。このオフィスキャンパーズは、オフィス内外のアウトドア化をサービスとして法人企業に提供し、働き方改革を推進するというもの。

同イベントはロフトワーク、WORK MILL(岡村製作所)、そしてスノーピークビジネスソリューションズが中心となった。なお今回、東急電鉄は参加していないが、きっと意識しているにちがいない。

同イベントでは、オフィスフロア内にファミリー向けの大型のテントを設営し、そこでの居住性や快適性を体験するという会になっていた。徹底していると感じたのは、テントだけでなくテーブルやディレクターチェア、ベンチシートなど、すべてアウトドア向けの製品になっていたこと。フロアには人工芝のカーペットが敷かれ、オフィスの中なのにキャンプ場の雰囲気が強く漂っている。当然、普段オフィスで使っているチェアと異なり、リラックスした姿勢で座れる。

そしてテント内。テーブルの周囲にはシッティング・クッション(座布団)が置かれ、脚を崩して座ることができる。テントのルーフには乾電池式ランタンが吊されている徹底ぶりだ。

○BCP対策にも一役買う

このテント内に入ってみて気づいた点がいくつかある。まず、前述したように脚を崩して座れるので、リラックスした姿勢がとれること。そして、この表現でいいのか疑問は残るが「ひざ詰め」で話ができ相手の表情も読み取りやすい距離となる。会議室の広い机の一番端に上長が座りにらみをきかせ、発言しづらいという重々しさは低減されそうだ。事実、多摩川での実験の際、参加企業のいくつかに話をうかがったが、「普段、無口な社員が饒舌になった」という意見も聞こえてきた。

BCP(事業継続計画)の観点からも役に立ちそうだ。重大な災害が起きた際は速やかに避難・帰宅するのは当たり前だが、短時間で復旧が見込めそうな停電、エレベーターの故障時など、一時避難的にテントを活用できる。公共交通に異常が生じた際、帰宅困難者に備蓄した食料を配布するベースとしても有用だろう。

とにかく、これまでのオフィスにはない開放感があるのは確かだ。キャンピングオフィスはまだ始まったばかりの取り組みだが、今後どのように広がりをみせるか注目したい。