未だに「返金」も出金もできないコインチェック、どんな闇があると言うのか? 

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 1月26日にコインチェックでの仮想通貨NEMの不正流出事件が発生し、28日にコインチェックが返金することを発表してから2週間が経過した。

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 「返金する」と発表されたときには、巨額な金額をあっさり返金するという発表に安堵した人たちと、あまりに拙速で期日の明示がない具体性に欠ける内容に違和感を感じた人たちがいた。対象となる約26万人に返金するという膨大な手続きの確認もなく、580億円もの仮想通貨が不正に流失したことに対する社会的な反響の大きさに驚いて、準備不足のままその場を取り繕ったという感じであった。

 返金の発表に驚いた人の中には「コインチェックが460億円という巨額な資金を右から左に用意できるのか」というものであったが、仮想通貨取引所(2月5日に日本経済新聞社は、従来の仮想通貨「取引所」という呼称を、実態に合わせて「交換会社」等と表記すると公表している)の営業内容が詳報されるにつれて、収益力の大きさに驚かされながらも、返済能力に疑問を感じる必要は払拭された。

 同社の大塚雄介最高執行責任者は1月に放映されたあるテレビ番組で、月間の取引高を4兆円と豪語した。仮に手数料が1%としても1カ月の手数料が400億円ということになる。手数料率はもっと高いという説もあり、返金しても1カ月分の手数料でおつりがあるかもしれない。

 二つ目は同社の取引形態だ。株の取り引きでは「取引単価」を指定する指値と呼ばれる方法と、「成り行き」と言って取引単価を指定しないでその時点での実勢価格で売却を望む取引先と、購入を望む取引先の仲介をする取引に分けられるが、同社の取引は実勢価格による「成り行き」取引のウエイトが高いと伝えられる。しかも同社自体が取引の相手方になることも珍しくなかった。寿司屋の時価も注文にたじろぎを感じるが、「成り行き」も同様にサヤの厚い「美味しい取引」なのだ。

 ではなぜ未だに返金されないのだろうか。2日に金融庁が同社に立ち入り検査を実施している。社会的な関心の高まりを考えると、返済能力の有無は当然確認しているだろう。財務状況に問題がなければ早期の返金実施を促しているであろうし、同社からも金融庁の指示によるアナウンスがあっておかしくない。

 ところが、同社は3日に「出金に伴う技術的な安全性について確認・検証中で再開に向けた準備を進めて」いて「外部専門家の協力も得て行っている確認・検証を踏まえ、出金の再開時期を知らせる」と発表した。実は返金どころではない、通常業務の出金再開すら日時を見通せないでいるのだ。問題はシステム上のモノなのか、事務処理上のネックなのか、流失事件に関連する高度に専門的なことなのか、もっと後ろめたいことなのか?こうしている間にも仮想通貨の価格は低下の動きを続けている。資産の減少を眺めているしかないコインチェックの利用者はどんな思いをしているのか?一日も早い正常化が望まれる。

 今回の一連の報道を見ていて痛切に感じたことは、昔から言われているが如く、「賭け事は胴元にかなわない」ということである。仮想通貨を賭け事になぞらえる不謹慎さにはご容赦願いたいが、顧客が勝っても負けても所定の手数料を要求されるのに対して、仮想通貨交換会社は取引高に見合った手数料収入が確実にあるということだ。出来ることなら交換会社を始めたいと考える人が出てきても不思議ではない。