町の不動産仲介会社の店頭には「おとり広告」のチラシが堂々と張られているところもある。業界の悪しき習慣だ

写真拡大

 賃貸住宅を探す際に欠かせないのが、住宅情報サイト。だが、実態と異なっていたり、実在しない物件情報などを記載して客を呼び込む「おとり広告」が混在しており、業界団体は悪質業者をサイトから排除するなど規制の強化に乗り出している。もうすぐ春の引っ越しシーズン。物件選びの際はくれぐれも注意したい。

 おとり広告に掲載される物件は「そもそも存在していない」「存在はしているが、契約済み」「存在はするが、取引を成立させる意志がない」−などのケースが確認されている。

 こんな経験をしたことがないだろうか。サイトで好条件の物件を見つけた。急いで連絡して店に向かうと、「申し訳ありません。つい先ほど契約が決まってしまいました」。

 業界関係者によると、このような場合、おとり広告である可能性があり、業者は別の物件を案内して契約につなげようとするという。

 おとり広告の混在の背景には、物件情報の広告が情報誌からサイトへ移行したことにあるという。

 業界関係者は「サイトには情報誌をはるかに上回る数百万件の物件が掲載されるようになった。数多くの物件の中から自社の取り扱い物件に客を呼び込むための目玉物件が必要だったのではないか」と説明する。

 業界団体もおとり広告の規制強化に乗り出している。

 関東・甲信越の不動産団体が加盟する「首都圏不動産公正取引協議会」(東京)は昨年1月、「SUUMO(スーモ)」や「いい部屋ネット」などの住宅情報サイトと連携。おとり広告を出した業者に1カ月以上のサイト掲載停止や違約金を科すようになり、昨年12月までに、契約済みの物件を2年以上掲載したり、契約する意思のない格安物件を記載したりしていた約50社が処分を受けた。

 関西でも昨年8月から「近畿地区不動産公正取引協議会」(大阪)が同様の規制を始めており、昨年12月15日までに13社が処分されている。

 首都圏不動産公正取引協議会は「ネットの情報だけで、おとり広告かどうかを見分けることは難しい。基本的にあまりにも条件の良い物件は疑ったほうがいい。ネットの情報を参考にしながら複数の不動産業者で調べ、できれば、その地域の業者に足を運ぶことが大切」とアドバイスする。

 昔から不動産仲介業者の間では一般的だった「おとり広告」ではあるが、もはやそれが通じない世の中になったということだ。