なぜ若年層に「ミレニアルピンク」が愛されているのか

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2017年の流行を振り返ったとき、間違いなく「ミレニアルピンク」はキーワードになるだろう。それほど、ミレニアルズはその色に夢中になった。

私はいま事業を運営する傍ら、SNSコンサルタントとしても活動している。その一貫として、普段から国内外のSNSをウォッチし、今時のミレニアルズの動向を探り、考察している。この連載では、そこで得た興味深いトレンドやインサイトについて紹介していくが、まずはビッグトレンド、「ミレニアルピンク」を取り上げたい。

ミレニアルピンクとは、1980年代〜2000年代に生まれた人たちを指すミレニアル世代、その中でも特に20代前半の女性たちに人気のあるいくつかのピンク色のことを指し、ベビーピンクやダスティピンクなど淡いトーンのピンク色のことである。瞬く間に巷に溢れたこの色だが、面白いことに2016年、2017年の2年では、支持されている色合いはわずかに変化もしている。

ファッション業界から飲食業界まで

毎年トレンドカラーを発表しているPantone(パントン)が、2016年に「ローズクオーツ」を流行色としたことにより、ミレニアルピンクの流行は始まった。ハイブランドが軒並み、ミレニアルピンクのファッションを提案し、トップインフルエンサーがそれらを着用し、髪色をそのピンクに染める者まで現れた。そして、その様子はインスタグラムなどのSNSを通して一気に拡散されたのだ。

ファッションという文脈だけでなく、飲食業界やインテリア業界にも愛された。ミレニアルピンクの内装に包まれたNYのカフェ「NoLita」や、観光客にも人気のLondonにあるカフェ「Sketch」、そして20万人が来場したミュージアム型イベント「MUSEUM OF ICECREAM」などはその代表格としても有名だ。

日本においても、広尾にあるカフェ「DAMBO」や昨秋上陸の「アルフレッドティールーム」などは、ミレニアルズには広く知られているだろう。「アルフレッドティールーム」をインスタグラムで検索すると、オープン後数月にもかかわらず、2018年2月5日時点で4500件近い投稿があることが分かる。

ミレニアルピンクは音楽の領域にも浸透している。2016年に発売されたレディー・ガガのアルバム「JOANNE」のジャケット写真では、本人がミレニアルピンク色のハットを被っている。ちなみに、ミレニアルピンクとともに2016年の流行色に選ばれた、「セレニティ」という淡い水色を写真の背景色に選んでおり、単なる偶然とは思えないほどだ。

なぜ愛されたのか

20代前半の女性に話を聞くと、ミレニアルピンクに対しては「可愛いという印象も受けるが、上品であり、繊細さを感じる」と話す。

加えて、通常ジェンダーレスを示すカラーはレインボーという印象があるが、同時にミレニアルピンクもジェンダーレスなシンボリックカラーのひとつであるとも言われており、LGBTQなどのセクシュアルマイノリティに寛容なミレニアルズにとって親和性が高い色でもある。

どの時代においてもピンク色は支持されているという論もあるが、2016年、2017年の流行をみると、ミレニアルピンクから感じ取れる「優しさ」や「穏やかさ」という印象が、時代と複合的にマッチしていたと考えられる。

情報量が多く、SNS疲れしているミレニアルズにとって、インスタグラムのフィードに流れてくるミレニアルピンクは「癒し」のカラーだったのだろう。特に米国では、ミレニアルズの5人に1人がLGBTQであると自認しており、彼らにとってはLGBTQフレンドリーで、「自分たち」向けのカラーだったのではないかと考えられる。

ミレニアルピンクは「いいね」がもらえる色

ミレニアルピンクになぜ惹かれるのかという質問を、他の20代女性にしてみるとユニークな答えがあった。「ミレニアルピンクは、写真映えする色だよね」と。加えて、ファッションメディアの担当者は、SNSにおいてミレニアルピンクを使用すると、「いいね」が多く、エンゲージメントが上がると話していた。

なるほど。つまりミレニアルピンクは「いいね」がもらえる色なのだ。

2016年の流行色にはじまり、様々なアイテムやスポットがミレニアルピンクで溢れ、時代性とマッチしたその色は多くのミレニアルズに支持された。そしてミレニアルピンクをSNSで投稿すれば、その共感は「いいね」という形で返ってくる。そのサイクルは雪だるま式に大きくなり、拡散され、ミレニアルズの生活に浸透していったのだ。

とはいえ、「いいね」がもらえるからと意識的にミレニアルピンクを投稿しているミレニアルズが多いとは思わない。しかし、時代によって流行りの顔や髪型、ファッションがあるように、いま若者に求められている色はミレニアルピンクなのだ。ミレニアルズの消費行動にSNSが起因しているという話は、今や当たり前の話であり、覆すことのできない事実である。