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●ソフトバンクを理解するために

ソフトバンクが上場を目指す表向きの理由は投資ニーズへの対応だが、根底には別の狙いがある。それはソフトバンクグループの孫正義代表が描く「群戦略」を実現するためでもあるのだ。

○群戦略とは何か

群戦略とは何か。2月7日に開催された決算説明会で孫氏が多くの時間を割いたのが群戦略に関する説明だった。

群戦略は、300年成長を続ける企業グループを生み出すために、孫氏が考え至った結論だ。IT企業には30年で成長の限界を迎える30年限界説がある。当初は輝いていたビジネスモデルやテクノロジーが古くなり、色褪せていくケースが多いとされる。一極集中型のビジネスではこれらの要因により、世紀をこえて発展していくのが難しいわけだ。

それを避けるために考案したのが群戦略というわけである。群戦略は多数の戦略的提携グループをグローバルに作り上げていくことだという。

同様の企業グループとして、財閥の存在があるが、財閥の実態を見る限り、個々の企業はナンバーワンの存在ではなく、連合体としてみた場合にも強固な状態には見えないと孫氏は指摘する。

群戦略がこの財閥と隔てるのがナンバーワンという考えだ。群戦略は各業界におけるナンバーワンの存在の連合体を作り上げようというものだ。この中核をなすのがソフトバンク・ビジョン・ファンドの存在だ。

●群戦略の広がり

○群戦略の中核的存在のファンド

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは総額10兆円をこえる資金を持つ巨額ファンドだ。孫氏の群戦略にナンバーワンの企業を加えるには、巨額の資金が要る。たとえばUber。累計8000億円に及ぶ投資とされ、孫氏は「従来のベンチャーキャピタルでは不可能」と指摘する。巨額ファンドだからこそ、可能となった投資案件となる。

群戦略において、孫氏が心がけているのが、ソフトバンク株式会社のような一部を除き、ブランドを統一しないこと、そして、一部のコア事業では過半数以上の株式を持つものの、それ以外では20-30%程度の持株比率にしているという。

SBの名を冠して、企業ブランドの統一化を図ろうと考えると、出資の際、相手から拒否され出資機会を失う可能性が高く、逆に業界3位に落ちて株式を売却したくとも売れないことが想定されるためだという。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドではすでに26社に投資。すべてユニコーンと呼ばれる非上場かつ将来有望な企業が名を連ねている。傾向としては、インターネットを活用したプラットフォームビジネスが多い。ビジネスの広がりに期待をもつことができ、いずれも大きく稼げそうな案件ばかりだ。

○ソフトバンク上場の根底に群戦略

話が広がってしまったが、国内通信事業のソフトバンクの上場も群戦略が関わる。「日本の国内通信会社が上場の準備に入るのはなぜか。なぜ親子上場するのか。小さな次元でメリットを得ようというわけではなく、根底に群戦略がある」(孫氏)。つまり、群戦略を進め、300年以上も輝き続けるために、ソフトバンクは群戦略における構成要素に過ぎない。そこからすると、SBGの投資事業がさらに存在感を増し、SBGの位置づけが変わっていくものと思われる。

SBGは戦略的持株会社の位置づけであり、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどの投資事業を進めながら、事業会社の自律性を高めて株式公開を図っていく流れともなりそうだ。

この見方が正しいのであれば、買収を機に非公開化したARM事業においても、例外的な扱いにならなければ、再度、株式公開を行なう可能性があるのかもしれない。いずれにせよ、SBGの方向性を見極めるうえで、群戦略というキーワードは外せないものとなる。