日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、どこで、何を、しているのだろう。

 Jリーグは1月中旬から各クラブが始動し、1月30日にはACLのプレーオフに柏レイソルが登場した。沖縄や宮崎などのキャンプ地でも、Jクラブの練習試合が行われている。シーズン開幕の足音は大きくなり、より高いレベルのトレーニングマッチが増えている。

 先週末に訪れた宮崎では、日本代表の手倉森誠コーチが視察をしていた。早川直樹コンディショニングトレーナーは同時期に沖縄にいて、手倉森コーチは宮崎から沖縄へ移動していった。代表に絡んでくる選手たちの仕上がり具合をチェックし、各チームの強化関係者とコミュニケーションをとるためだ。

 昨年末のE−1選手権に選手を送り出してくれたクラブに謝意を伝え、W杯へ向けたスケジュールを直接伝えることも、代表スタッフの大切な仕事である。クラブの協力なしに、代表チームは成り立たない。電話やメールではなく顔を合わせて話をすることで、お互いの思いが通じ合う。

 ハリルホジッチ監督は? フランス・リールの自宅で英気を養いつつ、W杯の対戦国の分析をしているのだろうか。

 家族との時間を大切にするのは分かる。ただ、ヨーロッパ各国では日本人選手がプレーしている。

 ドルトムントで調子をあげている香川真司を、自分の眼でチェックしなくてもいいのか? デュッセルドルフへ移籍した原口元気に、会いに行かなくてもいいのか? このところゴールから遠ざかっている岡崎慎司の現状を、生で確認しなくてもいいのか? 

 香川、原口、岡崎だけでなく、チェックすべき選手は多い。ガラタサライへ移籍した長友佑都や、アンデルレヒトへ新天地を求めた森岡亮太、スペイン2部で戦う井手口陽介らも、普通に考えれば気になる存在だ。メキシコで調子をあげている本田圭佑も、現地でチェックしたい選手である。

 対戦国の分析は、ハリルホジッチ監督だけの仕事ではない。手倉森コーチも映像を観ている。ハリルホジッチ監督が家族と過ごす時間や分析の合間を縫って、週末だけでもスタジアムへ行くことは、決して不可能ではないと思う。しかし、視察に訪れたとのニュースは、一向に伝わってこない。

 ヨーロッパ各国でプレーする日本人選手のプレーは、そのほとんどを映像で確認することができる。1試合だけ観たところで、印象が劇的に変わることもない。

 そうだとしても、実際に足を運んでプレーをチェックし、試合後に話をすることには意味がある。監督自身が声をかけることは、W杯へ向けた選手たちのモチベーションを高め、ひいてはチームの一体感を作り上げることにつながる。チーム全体で戦う雰囲気は、このチームに足りないものでもある。

 今週末の2月10日には、ゼロックス杯で川崎フロンターレとセレッソ大阪が激突する。来週13、14日にはACLの第1節で鹿島アントラーズと川崎がホームで戦う。公式戦が続く。

 ハリルホジッチ監督は、どのタイミングで来日するのか。Jリーグ開幕まで来日せずに、ヨーロッパで視察をするのか。それとも、これまでと同じように目立った動きを見せないのか。

 何にせよ、このままでは誰の気持ちも動かせないのは確かである。