共同開発したトイレ用音響装置「サウンドデコレーター」とLIXILの水谷さん

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 LIXILはローランド(浜松市北区、三木純一社長、053・523・0230)と共同開発したトイレ用音響装置を発売した。他人に聞かれたくないトイレ使用時の音を効果的に打ち消すため、ローランドが電子楽器の音作りで培った技術を活用し、製品化にこぎつけた。これまで接点のなかった業界同士の異色のタッグながら、それぞれ確かな成果を得たようだ。

 共同開発した「サウンドデコレーター」は、オフィスビルや商業施設など公共的な場所への設置を想定。個室に入ったり手をかざしたりすると、小川のせせらぎのようなサウンドを流す。周波数特性はトイレ使用時に出る「行為音」と合わせており、音を効果的に打ち消せる。無駄に水を流す行為が抑えられ、節水にもつながる。

 LIXILが同様の装置を全面刷新するのは24年ぶり。「機能の向上は通過点。人の感性に訴える聞き心地を追求したい」(LIXILトイレ・洗面商品部販売企画2グループの水谷洋氏)と考え、ローランドに白羽の矢を立てた。ローランドも異業種連携に力を入れており、3年前には京都大学発のベンチャーと電気自動車(EV)の走行音を再現するシステムを開発した実績もあった。

 「音の良しあしに明確な評価基準がない」(ローランドRPG第1開発部)ことに戸惑いはあったものの、さまざまな自然の音を集めて分解・合成し「威圧感がなく、自然に聞こえる心地よさ」(同)を得られるサウンドを創り出した。

 音を打ち消す主な対象は使用頻度の高い小水の音だが、音圧の差が少ないフラットな周波数特性のため、女性が嫌がる破裂音などを打ち消す効果もあるという。

 LIXILは「外国人にも良さを実感してもらえる」(水谷氏)と、空港や駅にも積極的に設置を促す考え。会員制交流サイト(SNS)での評判の広がりにも期待する。ローランドも「家の中には『音』が必要なシーンが多い。いろいろ協力していきたい」と、LIXILとの連携を深める考えを示す。
(文=齋藤正人)