辻埜真人・清水建設技術研究所企画部主任研究員 Photo by Kazutoshi Sumitomo

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「これは応用できるかもしれない」──。2012年のある日。建設大手、清水建設の技術研究所企画部主任研究員、辻埜真人はこの日も、食べるのが“日課”という大好物のヨーグルトを手に取った。

 ふたを開けたところ、辻埜はある“異変”に気が付いた。いつもなら、ふたの裏一面にべったりと付着しているはずのヨーグルトが、全てきれいに容器に収まっていたのだ。

「すごいなと感心したのと同時に、自分の専門にも使えるのではと思いましたね」

 コンクリート工学を専門とする辻埜が、建設業界の常識を覆す超撥水型枠「アート型枠」を着想した瞬間だ。

 すぐさま、ふた材を開発した東洋アルミニウムに連絡を取るべく受話器を手に取ったという。「当然ですが、先方からは『何でゼネコンが? 何かの間違いじゃないか』という反応をされました」と頭をかく。

 製品に名付けられたアート(Art)という言葉には、もともと「芸術」という一般的な意味に加え、「自然の模倣」という意味がある。この双方の意味が、名前に込められている。

 というのは、ふたに使われていた東洋アルミニウムの撥水性包装材料「トーヤルロータス」は、沼や池に生えるハスが泥水から身を守るために獲得した葉の表面機構を模したバイオミメティクス(生物模倣)技術。ハスの葉はその表面に無数の微細な凹凸を持ち、表面張力により水をはじいているが、同様の特性をナノテクノロジーにより実現したのだ。

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