サムスンやファーウェイに勝ったOPPOが日本市場で目指す「カメラフォン」とは何か?

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スマートフォンにおいてグローバルでの市場シェア第4位のOPPO japan(以下、OPPO)は1月31日、「日本市場参入記者発表会」を開催し、第1弾としてSIMフリーのカメラフォン「R11s」を日本に投入することを発表した。

日本でのOPPOのスマートフォンに対する知名度は低い。
認知度も、まだガジェットクラスタ限定といったところだ。

一般スマートフォンユーザーの多くに、「OPPO」と言われても「?」と反応が帰ってくるほど、その名は知られていない。

さて、日本でのSIMフリースマートフォン市場は、
ASUSとファーウェイが頭ひとつ抜けている印象だ。
この2強に、Covia、ZTE、Wiko、アルカテルなどが続いている。

ASUSは早い段階でコストパフォーマンスに優れたスマートフォンを送り出した。
他社よりも早くコストパフォーマンスの高いSIMスマートフォンを展開し、ブランドイメージを確立した。
しかしながら、最近は製品のバリエーションを広げすぎて、以前ほどのコストパフォーマンスが高いブランドというイメージが薄まっているような気がしてならない。
2018年はASUSらしい技術的なインパクトのあるスマートフォンの登場に期待したい。

ファーウェイは長い間、競争が激化する格安スマートフォン市場で戦ってきたが、ファーウェイというブランド名はなかなか根付かないでいた。
しかしながら2016年のライカとの協業によるハイエンドスマートフォン「HUAWEI P9」の発売によりブランディングを成功し、今ではハイエンドだけではなくエントリーモデルにおいても高い評価を得ている。

こうして過去、日本市場での成功例をみると、
成功する製品には、安さだけではなく、消費者を惹きつける「ものづくり」が必要不可欠であることが見えてくる。
特にメーカーの「ものづくり」の象徴でもあるフラグシップモデルがブランディングには大きな役割を果たす。

そんな中で、2強を追うZTEは、2月にNTTドコモから2画面スマートフォン「M Z-01K」を発売する。
このスマートフォンは発売前から話題を呼んでおり、ZTEが知名度を上げるきっかけになりそうな1台だ。

こうした状況の中、OPPOはアジアでのスマートフォン出荷台数で、ファーウェイやサムスンを抑えて首位となった勢いを追い風に、満を持しての日本市場への参入である。

OPPOは、はたしてどのような戦略で挑むのか。

そのヒントを探すべく、日本市場に投入するカメラフォンの最新モデルR11sをチェックしてみようと思う。




画面は6.01インチ1080×2160ドットの最近の流行でもある18:9の縦長ディスプレイ。
CPUはミドルクラスのQualcomm「Snapdragon 660」、メインメモリーは4GB、内部ストレージは64GBで外部ストレージとしてmicroSDXC 256GBに対応する。

外装はメタル製で背面に指紋センサーを搭載。厚さ約7.1mmで質感も良い。

スペック的には、ミドルクラスの大画面スマートフォンという立ち位置だ。
これだけでは日本市場でのインパクトはないだろう。

そこで今回の発表会では、OPPOの歴代カメラフォンが紹介され、R11sもそのカメラ機能についてアピールしている。




カメラ機能としては、
アウトカメラに、F1.7レンズの2000万画素と1600万画素のデュアルカメラを搭載。
インカメラには、F2.0レンズの2000万画素のカメラを搭載している。

デュアルカメラで距離を計測し、遠景や近景のボケを再現することで美しいポートレート撮影が楽しめるといった機能はしっかりと抑えている。

特にアウトカメラの高精細な2000万画素イメージセンサーは、4画素を一つにまとめて1画素とすることで受光感度を上げることが可能となる。
つまり、暗所での撮影にも強いということだ。




インカメラは、OPP独自の「A.I.ビューティーセンサー」を搭載する。
顔を254ものポイントで立体的に捉え、膨大な「セルフィーデータベース」から、ユーザーに最適な肌の色や質感、顔のパーツなどのビューティー効果が得られる。

カメラアプリでよく見かけるパーツを認識した機械的な調整ではなく、A.I.ニューラルネットワークアルゴリズムによる特徴の解析から効果が得られると言う。
AIを利用して美顔効果を生み出すという、興味深い機能でもある。

このようにカメラフォンを名乗るからには、機能を重視したつくりとなっている。
発表会でも、こうした積み重ねは、ユーザーが満足のいく「写真」を提供する「OPPOポートレート・ラボ」にあることが強調されていた。

「OPPOポートレート・ラボ」とは、
OPPOの研究開発スタッフおよび、世界中の著名なフォトグラファー、メイクアップアーティスト、レタッチスペシャリストによって構成されている。
構成メンバーのアドバイスを反映し、他社製品とは一線を画すクオリティを実現しているという。

さらにR11sは、世界的に有名なファッション写真家であるラッセルジェームズ氏のもとで仕上げを行っているとしている。

つまり、OPPOにおけるカメラフォンとは、
多機能なカメラを搭載したスマートフォンではなく、本格的な「写真」が撮影できるカメラを搭載したスマートフォンというわけなのだ。




発表会が行われた「表参道ヒルズ」には、写真家の角田修一氏がR11sで撮影したポートレート写真を展示。
一眼カメラで撮影したようなボケとフィルムカメラのような色合いが特徴的だ。
色合も、輝度やコントラストが高いデジタル的な特徴はなく、スマートフォンで撮影したとは思えない仕上がりであった。

OPPOの第1弾となるR11sは「カメラフォン=OPPO」というイメージを確立するには、ミドルクラスということもあり、インパクトが足りないようにも思える。
しかし、OPPOが写真に込めた想いは感じるとることはできた。

インスタ映えする撮影には、ロケーションやアイテムなども重要だが、やはりスマートフォンでも“綺麗な写真”が撮れることが大前提である。

昨今は、”良い写真”を評価する基準がプロではなく、多くの人が利用するSNS上で行われるようになっている。
OPPOは、こうした「インスタ映え」を気にする層に、どうアピールしていくのか?
次のアクションが楽しみである。


執筆  mi2_303