冬場の乾燥は「涙目」の原因にも(depositphotos.com)

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 最近「外に出ると悲しくもないのに涙が出る」ということはありませんか? あるいは「自転車に乗っていると涙が出る」ことはありませんか?

 特に、今頃の季節から春先まで、室内では大丈夫ですが、外に出ると涙目になる方がおられます。原因としては「乾燥」や「寒冷刺激」「風による刺激」などが考えられます。

 冬は空気が乾燥する季節であり、皮膚のみならず目も乾燥するので、ドライアイの症状を訴える方が多くいらしゃいます。ドライアイの症状として、乾燥のために、目がゴロゴロする、疲れる、かすむ、充血する、コンタクトレンズの装用感が悪いなどがあります。

 その一方で、意外に思われるかもしれませんが、先のような乾燥によって「涙が出る」という症状もあるのです。冬の涙のトラブルは「乾燥」が多いと思われがちですが、実は「涙目」でお困りの方も多いのです。特に、屋外と室内の寒暖の差や風の刺激が原因となって、涙が出る方が多く見られます。

なぜ乾燥で涙目になるのか?

 涙は、涙腺から分泌され、角膜結膜と言った目の表面を潤した後に、一部は蒸発し、残りはまぶたの鼻側の上下にある涙点という孔から鼻に吸収されていきます(図1)。

 涙の分泌量と蒸発量・排出量は、絶妙なバランスで均衡が保たれています。例えば、加齢により、涙が排出される導涙機能が低下したり、涙小管などの涙道が閉塞したりすると、涙が余って涙目になります。

 しかし、冬場のドライアイでの涙目は、この様な導涙機能の低下や涙道の閉塞ではなく、乾燥や風による催涙刺激あるいは、寒冷刺激に対するアレルギー反応により流涙が起きていると考えられます。つまり、この時期ですと、角膜が乾燥し、それを補うように、反射により涙が出るということもあるのです。

 「乾燥するのに涙がでるの?」と疑問を持つ方もおられると思いますが、角膜が乾くと、それを察知し角膜を潤わせようと反射的に涙が出ることがあるのです。

 この様にドライアイと診断されている方が逆に涙が多く出るということがありますし、涙目だと思って眼科を受診したら反対に乾いていてドライアイですと言われ疑問に思われることもあるでしょう。

 涙の通り道が狭いのか、角膜が乾燥しているのか、それは眼科で検査を受ければ分かります。「外出すると涙が出る」という方は、是非一度、眼科で検査を受けてみてください。

涙道が細くなったり、閉塞している可能性も

 また、「外出すると涙が出る」という方の中には、「去年までは冬場に外出時だけだったのに、今年は室内でも、しかも温かい季節でも涙が出ます」という方もいることでしょう。

 この様な場合は、ドライアイやアレルギー反応のみならず、涙道が細くなったり、閉塞している可能性があります。

 いずれの場合も眼科では、症状を詳細にお聞きした上で、一般的な流涙の検査やドライアイの検査も行います。流涙の検査は、角結膜の診察を行った後に、涙道が詰まっていないかを調べます。

 涙点から涙道に水を入れ、水がきちんと鼻側に流れるかを確認する通水検査などを行います。通水検査により、機能的な問題か涙道が閉塞しているかを確認します。ドライアイの検査は、涙が蒸発する時間を測定したり、角結膜・まぶたなど眼の表面の状態を診察します。

ドライアイや涙目の治療法は?

 涙道の閉塞がなく、ドライアイと診断されれば、涙の通り道を広げるような治療ではなく、人口涙液などの点眼でドライアイに対する治療することになります。また、寒冷アレルギーに対する抗アレルギー剤の点眼が処方されることもあります。

 一方、涙道が狭くなっていたり、閉塞している場合は、通常の涙目の治療法として、チューブを通す方法などがあります。しかし「痛そう、怖い」などの理由や、「どうせ年だから」と思い込み放置しておられる方も多いようです。

 涙道にチューブを通す治療を行うと、約9割方が涙目から解放されるというデーターもあります。また、完全に通り道が閉じていない場合は、お水を通すだけでも一時的ですが楽になることがあります。

 定期的(2週間から1か月くらい)に通院して、お水を通す治療を受けている方もいます。痛い治療、怖い治療は嫌だという方にはお勧めかもしれません。「どうせ年のせいだから......」と諦めず、一度眼科で相談されることをお勧めいたします。
(文=高橋現一郎)

連載「眼病平癒のエビデンス」のバックナンバー


高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)
東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。