左から主任の中村道裕さん、社長の森本健次さん、スタッフの森脇里紗さん。ユニホームは村で着られていた藍染の作業着をイメージ

写真拡大

人口約2,800人、15年の日本創成会議において“全国で17番目、京都府で最初に消滅する可能性のある自治体”というレッテルをはられた南山城村に、17年4月、道の駅が誕生した。そのきっかけは「国道163号線のトンネル工事で掘り出した土で、田んぼを埋め立てて道の駅を作ろう」という村長のひと声。京都府南部に道の駅がないという背景をにらみ、村長自ら土地を差し出し、京都府18番目となる道の駅が誕生した。

【画像を見る】村抹茶ソフトクリーム400円。抹茶をそのまま食べているような濃厚さ

■ 地元の底力をフル活用!小さな村の「挑戦する」道の駅

モデルとなったのは高知県の四万十町にある「道の駅四万十とおわ」。“村で採れたものを村で売る。自然も人も循環する道の駅”として村を活性させた成功ノウハウを学ぶべく、運営会社である株式会社 南山城の社長・森本さん自ら高知へ足を運んだ。

そして約4年の試行錯誤を経て“村のダイジェスト版”をコンセプトに、村人が営み続けて産まれたモノやコトを発表する場として、道の駅をオープンさせた。

■ 宇治茶の約3割を生産する村の特産品に特化した

「とにかく徹底して“お茶”にこだわったその姿勢は、全方位型がトレンドになりつつある道の駅のなかでもある意味異色」と道の駅の達人・守屋之克さん(ゼンリン 道の駅 旅案内全国地図 編集長)が話すように、宇治茶の約3割を生産するお茶の産地であることから、そばやスイーツなど、なんと50種以上ものお茶を使った新商品を開発した。

「抹茶の一番茶は色が濃く、甘くて香りも抜群。生産地だからできる商品を開発しました」と森本社長は自社商品に自信をのぞかせる。もちろん、「生産者ごとに味も香りも千差万別」という茶葉も販売。多ければ茶葉だけでも50種以上が並ぶほどで、“お茶”目当ての客を取り込むことに成功。オープン当初の予想をはるかに上回る来場者数を達成した。

この予想以上の盛況ぶりに、半信半疑だった村民たちも共感し、商品開発や仕入れなどにも当初にも増して協力的になったという。さらに、駅内にある「村民百貨店(コンビニ)」には村民が日常品を買いに訪れ、休憩室では村民が寄り合い話をしたり、学生が勉強したりと、村の集会所的な機能も果たすようになった。

「今後どんなふうにお茶の文化をユーザーに伝えてくれるか期待大です」と守屋さんが語るように、地域の情報ステーションとしての新しい道の駅の形を生み出そうとしている。

「道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村」住所:京都府相楽郡南山城村北大河原殿田102 電話:0743-93-1392 時間:9:00〜18:00※施設により異なる 休み:第3水曜日 ※情報は関西ウォーカー2018年2月6日発売号より【関西ウォーカー編集部】(関西ウォーカー・森田周子)