スカパーJSATホールディングス社長・高田真治氏

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 ―有料動画配信サービスが台頭していますが、放送サービスへの影響は。
 「多様な動画サービスが視聴されているのは事実だが、コンテンツの制作能力は放送局が持っている。我々はより良いコンテンツを作り、収益を上げて拡大・再生産できる仕組みを目指している。十把ひとからげに多様な映像コンテンツが視聴できる動画配信サービスの台頭の議論に入り込む必要はない。ただ、現状(の競合環境)は厳しいので顧客拡大に向けては新たな商品体系を検討している」

 ―具体的には。
 「若年層や高齢者層といった属性などを意識しつつ、シンプルな商品体系を作りたい。映像コンテンツには、あまりお金を支払いたくないという若年層の需要があれば、より低価格のプランや無料のプランがあっても良い」

 ―「ダ・ゾーン」などの参入により、スポーツ中継は放映権料が上昇しています。
 「高い放映権料を支払い、その資金を回収できなければ企業価値は毀損(きそん)される。我々は適正な収入を得ながら育てて回収する考え方だ。(スポーツ中継は)足元をしっかり見ながら取り組む」

 ―2017年12月には放送と通信を融合し、見逃した番組の視聴などを円滑に行えるハイブリッドキャスト放送を始めました。
 「放送と通信が融合した画面では新規事業を展開できる可能性が大いにある。例えば放送前のドラマについて追加費用をいただき、先行配信するサービスなどが考えられる」

 ―衛星を活用した新規事業の構築に向けて国内外のベンチャーなどと連携体制を構築しています。
 「IoT(モノのインターネット)が広がる今後の社会において衛星は有用だ。国内唯一の商用衛星オペレーターである我々としては、衛星によって取得できるセンシングデータなどを生かした情報サービスに進出したい。我々の体力や知見などだけでは難しいので、多様な連携関係を構築している」

 ―平面型衛星アンテナを手がける米カイメタと提携し、車内から衛星通信できるサービスを提供する予定です。
 「衛星通信は地上の通信網がつながらない地域を補完できる。サービス開始当初は(災害により地上の通信網が途絶えた地域などでも通信が必要な)消防車など特殊車両による官需を見込むが、民需も開拓したい」

 ―17年10月には、産業用飛行ロボット(ドローン)を製造・販売する傘下のエンルートに追加出資しました。
 「質の高い製品を安定して大量に作る体制作りの一環だ。ドローン分野においても衛星とつながる強みを最大限生かした事業を構築していく」

(聞き手=葭本隆太)