河合楽器の最高峰ピアノ「シゲル・カワイ」シリーズ

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 中国の消費高度化が2018年の株式市場における重要テーマの一つになるとみている。経済成長に伴い衣食住が満たされたことで、今後は教育や娯楽などの「文化消費」が拡大していくと予想される。中国の楽器市場は年率8―9%で拡大しており、今後も同程度の成長が続くと予想する。

 16年の中国の人口1人当たり楽器売上金額は1・1ドルであり、これは米国やドイツなど先進9カ国の平均水準11・2ドルの10分の1の規模にすぎず、依然として成長余地は大きい。そうした中で、河合楽器製作所は中国の楽器市場の拡大を取り込むべく、さまざまな事業戦略を進めている。

 同社は1927年創業の楽器メーカーであるが、ライバルのヤマハが管楽器や弦打楽器なども含めた総合楽器メーカーとして展開しているのに対して、ピアノやデジタルピアノなど鍵盤楽器に特化した製品展開に特徴がある。

 また電子楽器が中心のカシオ計算機やローランドに対して、河合楽器はグランドピアノやアップライトピアノも含めた製品ラインアップに特徴を持つ。

 17年3月期のセグメント別の売り上げ構成比は、楽器教育(鍵盤楽器、音楽・体育教室、楽譜出版、調律・修理など)が79%、素材加工(金属塗装、木工塗装、防音室など)が15%、その他が6%となっている。

 主力の鍵盤楽器は日本(売り上げ構成比21%)をはじめ北米(同24%)、欧州(同17%)、中国(同29%)などグローバルに展開している。競合他社と比べると楽器事業の利益率の低さが課題となっているが、中国向けの売り上げ拡大などを契機に改善に向かうと考えられる。

 その中国向け売り上げ拡大は次の三つがポイントとなる。鍵盤楽器の売り上げに占める中国向けの比率が約3割と世界の楽器市場平均(約1割)よりも高いこと、消費の高度化に伴い同社の得意とするハイエンドなピアノ、デジタルピアノの需要が拡大すること、近年積極的に進めているパートナーシップ戦略の業績貢献が見込まれること。これらにより、同社は中国の楽器市場拡大の商機を捉え成長を加速していくことが可能だろう。

 中国向け鍵盤楽器の売上高は、17年3月期から22年3月期にかけて年率平均16%での成長を予想している。楽器の増収効果に、教育や調律事業のロイヤルティー収入の増加も加わり、連結営業利益は17年3月期の23億円から22年3月期には48億円へ5年間で倍増する見通しである。

 リスク要因としては楽器市場の伸び悩み、為替変動、競合他社との価格競争などが挙げられる。

(文=野村証券エクイティ・リサーチ部 岡崎優氏)
【略歴】
野村証券リサーチ部門において株式銘柄を調査分析、投資情報を発信する部隊。日本株銘柄を約600社カバーし投資情報をタイムリーに提供する。また成長するアジア株式の調査分析にも力を入れている。