北海道・陸別町で開催された「第37回陸別しばれフェスティバル」に参加してきました!

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2月3日(土)・4日(日)の2日間、北海道ウォーカー編集部は“日本一寒い編集部”として、北海道・陸別町で開催された「第37回陸別しばれフェスティバル」に参加してきました! しかしそこには極限環境での初体験と手厳しい洗礼が待ち受けており、その一部始終を皆さんにお届けしたいと思います。

【写真を見る】1月の平均気温・平均最低気温が全国(富士山を除く)で最も低い“日本一寒い町”である陸別町に、例年約8000人が集まる巨大イベント

まずそもそも「しばれフェスティバル」とはどういったイベントなのかというところからご説明しましょう。

このイベントは、1月の平均気温・平均最低気温が全国(富士山を除く)で最も低い“日本一寒い町”である陸別町に、例年約8000人が集まる巨大イベントです。陸別町をご存知の方ならお分かりになるかと思いますが、この規模の人数が集まるのはもはや町一番の事件です!(失礼)

なんといっても最大の目玉は、陸別の厳しい寒さにチャレンジする「人間耐寒テスト」。実行委員会のみなさんが手塩にかけて育てた(実際に凍らせるために毎日水をかけます)、特製の「バルーンマンション」で一夜を明かします。

えぇ、もちろん屋外です(汗)。例年はマイナス20℃を下回るそうで、その名前通り、人間としての何かが試されてしまいそうな環境なのです。これを今年で37回目となる長寿イベントにしたのがまたすごいです。

なぜこんな無謀なイベントを企画するに至ったかは、イベント内容とは打って変わって非常に堅実なしばれフェスティバル運営スタッフへのインタビューや、イベントの歴史を紹介する別記事に譲るとして、これ以降は実際に参加した編集部員の身に何が起こったのか、イベント当時の流れに沿って紹介します。

■ 到着直後は「余裕ですね」と大口をたたいていた編集部員、しかし…

2月3日(土)18時前、しばれフェスティバル開幕直前ギリギリに編集部は会場入りしました。午前中に札幌を出発したのですが、大幅に道に迷うなどのトラブルに見舞われ、到着がギリギリになってしまったのです。思えばこの時から不吉なサインは出ていたのか、と振り返って思います…

それはさておき、18時に「命の火」の点灯式と共に「しばれフェスティバル」がスタートしました。

「命の火」とは身の丈を超える巨大キャンプファイヤーのことで、「人間耐寒テスト」のチャレンジャーにとってはまさに命綱となります。

続いて18時半ごろからは、地元小学校の児童による「陸小太鼓〜よさこい」や、2017年M-1グランプリ王者のとろサーモンも登場した「よしもとお笑いステージショー」などのステージイベントが行われました。北海道発育成型フルーツアイドル「フルーティー」のステージでは、短いスカートの衣装でパフォーマンスする様子を見ながら「あんな薄着でよく頑張るなぁ〜」と思ったものです。

ステージイベントと並行して、編集部では今宵の宿となる「バルーンマンション」周りの設営を進めます。さながらキャンプの要領で火を起こし、バーベキューの食材まで用意すれば、もはやそこには「あれ? このバルーンマンションに住めるんじゃない?」と思わせるほどのホーム感が出てきます。冷静にいま考えると、絶対にあんなところには住めません(遠い目)。

そんなこんなで設営も終え、景気付けに缶ビールで乾杯したばかりの20時半ごろ、突然近くの森から…

「バンバン、バンッ(猛烈な爆発音)」

全員「!?!?」

全員びっくりして音のした方向を振り返ると、そこには花火が上がっていました。そうなんです、設営の忙しさですっかり忘れていましたが、「『しばれ花火』と銘打ってちょっとした花火大会を毎年行っているんです」と事前に運営スタッフの方に聞いていたのでした。一瞬何事かと思いましたが、これで一安心。

…しかし、近い。いや、近すぎる!? 眼前にこれでもかと咲き乱れる数々の花火から放たれる、猛烈な爆発音に思わず打ち上げを行っている場所を確認してみると、なんと我々のバルーンマンションから目視で30mも離れていないではありませんか! 花火大会特集を担当したことのある編集部員でも、ここまで近くで見られる花火大会には出会ったことがありませんでした。

さらにうれしいことに、打ち上げ時間が思ったよりも長い! スタッフさんからは「ちょっとした…」と聞いていたので5〜10分ぐらいかなと思っていたのですが、最後の花火が打ち上がった時にはたっぷり30分経っていました。思わぬ出会いに、勝手に“日本一寒い町で見られる日本一見ておきたい花火大会”に認定です!

しかし、テンションが上がりまくっていたこの時に、もうすでに異変は始まっていたのです…

花火を見ながらつい10分前にグラスに注いだ水を飲んだところ、喉に違和感が。水を飲みこもうとすると、喉に何かが刺さるのです! よくよく見てみると、陸別の尋常じゃない冷気に、なんと早くも水が凍り始めているではありませんか。しかしこの時は花火に夢中だったこともあり、「わぁ〜、キレイ♪」などと言って写真を撮っていましたが、異変は続きます。

今度は先ほど乾杯で飲んだ缶ビールを持ち上げると、なんだか重いことに気付きます。まさかと思ってひと口飲んでみると、こちらも程よく(?)凍って、シャーベット状態に。口の中でビールがシャリシャリするという、夏場であれば“新食感だ!”と喜べたかもしれませんが、この時はただただ冷たさに耐えて飲んでいました。そうしている間にも見る見るうちに凍結が進み、しまいには缶をひっくり返しても何も出てこない、完全な氷状態に! こうなってはどうあがいても飲めません。

しかし、編集部も覚悟はして来ています。むしろ妙な負けん気に突き動かされ、「ならば凍らないアルコール度数の強い酒を飲めばいいではないか!」と、ワインや日本酒、ウイスキー、ウォッカ、と次々にいろんな酒を開け、逆にこの環境でも凍らない酒を探す実験企画を急遽行うことに。

その結果、ワインや日本酒など比較的アルコール度数の低い酒は徐々に凍り始めてしまい、ワインに至ってはグラスの中でカチコチに。日本酒はトロトロの、いわゆる“みぞれ酒”状態で、これはこれでなかなかという乙な感じに。ウォッカはさすがに寒いところの酒というイメージに違わず、いくら置いておいても凍る気配がありませんでした。

ほかにも実験と称して焼肉にジンギスカン、おでんと、寒さを紛らわせるため次々に料理をしていきます。そうすると、大抵の料理はおいしく食べられたのですが、なかには意外な発見も!

まず、焼肉。焼いた肉や野菜は大丈夫なのですが、問題はタレです。完全には凍らないのですが、なにやら粘度が増し、ねっとりした食感に。キンキンに冷えたタレは、あまりつけすぎると肉の温かさより冷たさが勝ってしまうという、なかなか難しい結果に。結論、“極寒焼肉”は塩コショウが一番です!(笑)

次にジンギスカンに挑戦したのですが、こちらは焼き始める時点ですでに凍ってしまっており、板状に凍った肉を手で割って焼くというレアな体験をすることに。

最後に、最も安心であろうと思われていたおでんにも問題が発生します。これでもかとグラグラに煮たてたおでんを食べようとしたところ、「熱い!」とすぐに食べられず。仕方がないので少し冷まそうと思っていたら、今度は「冷たい!」。まさかおでんにこんなシビアな温度調節を求められるとは…

このように普段のキャンプでは普通にできることも、この極限の環境下ではなかなか難しいということを一つ一つ身を持って体感していく編集部。このまま順調に取材を進められるかと思った矢先、ついにその時はやってきます…

■ 2月4日(日)午前2時、「しばれフェスティバル」の洗礼を受ける

完全にやってしまいました…

決して酒には酔っていません。むしろ命の危険を感じ目は冴えていました。そうです、無性に寒いのです。

気温はマイナス11℃、スタートから3℃しか下がっていません。しかしダイヤモンドダストが吹き、それが雪になるころには身体は冷え切っていました。数字が示す以上の体感の寒さが編集部を襲っていました。

かくいう私も、最初に防寒のために着込んだカッパの下にかいてしまった汗が冷え始め体温を奪うという最悪の状態に。

そして料理も尽き、いくら飲んでも酔えない酒はむしろ体温を下げ、もし運営スタッフの方がルールブックを作成するとしたら、そのすべてに当てはまるであろう“※よい子はマネしないでね”のお手本のような状態になってしまいました。

■ 当時を振り返り、編集部員は語る「記事を書くとかそれどころではありませんでした…」

そして、ここに告白します。リアルタイムで記事を書いてお届けしようと思っていましたが、すみません無理でした。

それはなぜか?

……

指が震えてタイピングができません(泣)!!

記事を書こうとパソコンを開いてみたは良いのですが、まぁ打ち間違えるわ打ち間違えるわ。手元が狂ってまともな文章が書けない上に、寒さで頭が回らないとなれば、もうこれは諦めモードです (言い訳)。

このままではイベントを盛り上げるどころか、生死すら危ぶまれ、イベントの存続に関わってしまいます。

そこで編集部では英断を下し、翌朝仕切り直してそれぞれの企画に取り組むことを決め、バルーンマンションに急いで避難しました。

果たして北海道ウォーカー編集部に明日はあるのか!?

(「しばれフェスティバル2日目」編につづく)

※「しばれフェスティバル」会場内にはあったかい休憩所もあり、万一に備えての準備もあります。来年参加を検討されている皆さんは決して無茶をしないようにお願いします。(北海道ウォーカー)