Facebookがパブリッシャーのコンテンツを優先せず、ブランド広告をもっと重視する可能性があることから、エージェンシーのバイヤーたちは、広告主へのFacebookグループの売り込みにますます力を入れている。

Facebookが2017年7月にローンチしたグループ機能は、ページ上にグループを作ったり、ページとグループを簡単につないだりできる。Facebookによると、毎月約10億人のユーザーがグループを利用しているという。この機能がブランドにとって魅力的なのは、コミュニティに信頼性を与え、新たなアルゴリズム変更によるダメージを受けない点だ。

これまでに、非営利団体(NPO)のエリーズウェイ(Ellie’s Way)や小売店のフリート・フィート(Fleet Feet)、バイクブランドのペロトン(Peloton)、台所用品のカルト的人気ブランドであるインスタントポット(Instant Pot)といったブランドが、このグループ機能を活用している。ペロトンでは、6万4000人がグループに参加し、33万ものフォロワーを有する公式Facebookページとつながっており、コミュニティマネージャーがお気に入りのインストラクターや自転車用品、フィットネスの目標に関するディスカッションをファシリテート。120万人の会員がいるインスタントポットのグループには、レシピやFAQコーナーなどがある。

有機的かつユニークな体験



デジタルマーケティングエージェンシーの360iでは、Facebookのアルゴリズム変更後のほうが、グループへの参加に対するブランド(小売りや自動車などの分野)への関心が高まった。同社のソーシャルマーケティングディレクターであるアレック・ピラファス氏は、次のように語る。「Facebookのグループ機能が提供する、有機的かつユニークなユーザー体験は、よりエンゲージメントを高める効果がある。以前は、ページがその役割を果たしていたが、今後は、グループ機能に期待している」。

活動的なコミュニティを持つブランドの場合、このグループ機能が役に立つ可能性がある。たとえば、フィットネス企業のペロトンは、自社の公式ページにリンクしている「ペロトン・ライダー(Peloton Rider)」グループを利用している。

ブランド各社にとってFacebookの最近の動きは、ビューのような消極的なアクションから、「参加」といった積極的なアクションへシフトするきっかけとなった。これで建前としては、顧客やユーザーによるコメントや創作物を通じたあらゆる積極的なアクションは、エンゲージメントとして評価されることになりそうだ。

ピラファス氏によると、ブランドがグループに惹きつけられるもうひとつの理由は、グループ内の分析のほうが、より興味深いデータを抽出することができるからだ。さらに高いレベルでグループの管理者は、「『想定された』サイコグラフィック情報やデモグラフィック情報」と同氏が呼ぶものよりも、実際に示された行動によって、オーディエンスから多くの情報を得られる。アクティブなユーザーや、ユーザーがアクティブな時間帯など、管理者にあらゆるデータを示すグループインサイトを利用すれば、ブランドはパブリッシャーが実施している戦略以上のものを策定することができる。

それでも、グループを運営してサブスクリプションの拡大や記事の宣伝を行ってきたVox MediaやBuzzFeed、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)のようなパブリッシャーと比べると、ブランドの動きは遅い。バイヤーによると、Facebookがアルゴリズムやルールを変更したり、グループのマネタイズも行おうとするのを恐れて、グループに興味があるブランドが引き金を引くのを躊躇しているのも、ひとつの理由だという。「Facebookが実施し続けている変更のせいで、ブランドは警戒心を抱いている。そうした分野に時間や資金やエネルギーを注ぐ前に、慎重に事を進める必要がある」と、ピラファス氏は指摘する。

インフルエンサーとの相乗効果



米メディア大手タイムワーナー(TWX.N)傘下のケーブルテレビ局、HBOのソーシャル&マーケティングチームのディレクターであるダナ・フラックス氏は、グループ機能が人々にとって適切な「交流」の場だとわかったと述べている。HBOは、約1年前にドラマ「Big Little Lies」(邦題「ビッグ・ リトル・ライズ〜セレブママたちの憂うつ〜」)のためにグループを利用した、はじめてのブランドだ。

HBOは当時、グループを作る際にFacebookのメディア提携担当の協力を求めて彼らに接触した。もっとも困難だったのは、Facebook外部のニュースフィードでグループを宣伝することだったと、フラックス氏は語る。そのためにインフルエンサー(HBOの場合は、番組の出演者)の活用が成功の鍵だったという。

エージェンシーのウェーブメーカー(Wavemaker)のマネージングパートナーであるノア・マーリン氏によると、彼のチームはFacebookのフィード改変後、グループへの関心を高めた一般消費財を扱う顧客と、積極的に話をしているという。フィードの改変後、その可能性を期待されいているインフルエンサーマーケティングを、グループ内のオーガニックなコンテンツと組み合わせれば、グループ内の対話を促進し宣伝するのに大いに役立つ。「当然ながら、Facebookは多くのブランドがそうしているのを見て、マネタイズのために活用しようとするだろう」と、マーリン氏はいう。

コミュニティーマネジメントの復活



一方、課題も見えてきている。それは、デジタルエージェンシーやメディアエージェンシー内で囁かれている、コミュニティーマネジメントの復活だ。グループ機能を通じた積極的なアクションが重視されるいま、投稿や再投稿を評価する役に、長年追いやられてきたコミュニティマネージャーのポジションが熱望されている。

エージェンシーのAGWでは、CEOのアダム・ゴロード氏が先週、Facebookのニュースについて話し合うために、ミーティングを開催。その際に挙がった大きな議題は、チームに所属するコミュニティマネージャーにどんな影響があり、どういう再教育をすればコミュニティマネージャーにとってもっともプラスになるのか、ということだった。小売ブランドである ’47 のために新たなグループ作成に取り組んでいるAGWは現在、コミュニティマネージャー向けに、たとえば脚本執筆の講座を開いて、対話の促進を手助けすることを検討している。

「ブランドのためにグループを作成し、ユーザーを集めて会話をしてもらう」と、ピラファス氏はいう。「重要なのは、ユーザーが独自で作るフループではなく、我々が作るグループに参加してもらえるようなインセンティブと動機付けをすることだ」。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)