不安を抱え、浮かない日々を送っても生産的ではありません(写真:deeepblue / iStock)

冬季インターンが佳境に入り、外資系企業の本選考も始まったこの時期、19年卒の就活生の多くは、不安な日々を送っていることと思います。
しかし、不安やストレスに押しつぶされてしまうと、うまくいくものもうまくいかなくなってしまいます。では、どうすればいいのでしょうか。
1000社を超える企業への採用活動支援、一部上場企業の採用責任者、1000人を超える学生への就活支援の実績を基に『新卒採用基準――面接官はここを見ている』を上梓した廣瀬泰幸氏が、就活生がさらされているストレスとその対処法を解説します。

今年の就活生は例年以上に多くの不安を抱えている

私は日々、就活生と接しているのですが、今年の就活生は例年以上に多くの不安を抱えており、中には必要以上のストレスにさらされている人も多いと感じます。

「就活をしなければならないとわかっていたものの、具体的な活動をあまりしてこなかった。今から就活を始めて間に合うだろうか」

「インターンに参加したものの、この先どうなるかわからない」

「志望度の高い企業のインターン選考に落ちてしまった。もうその会社には入れないのだろうか」

「すでに1〜3社の本選考に落ちてしまった。自分はこの先、志望度の高い企業には入れないのではないだろうか」

就活ナビサイトで採用情報の提供が始まるのは3月1日からなのにもかかわらず、すでにこのような悩みを抱えている学生がいるのです。

就活の成否はあくまでも会社側が決めるものですから、自分がどのように評価されているかが気になることはよくわかります。しかし、不安を抱え、浮かない日々を送っても生産的ではありませんし、自分の可能性を狭めてしまいます。希望を持って明るく就活に臨んだほうが、かえってうまくいったりするものです。

そこで今回は、「不安やストレスとうまく付き合い、自分を前向きに前進させる秘訣」を解説しましょう。

この時期の就活生が抱えるストレスは、大きく3つの種類に分けられます。

この時期の就活生が抱える3大ストレス

ストレス1:インターンシップへの「出遅れ感」

この時期、学生のインターンシップへの参加度合いには大きな格差があります。すでに複数社のインターンシップに参加した学生がいる一方で、やっと重い腰を上げた学生もいます。

インターンシップとは、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」であり、その実施にあたっては「インターンシップと称して就職・採用活動開始時期前に就職・採用活動そのものが行われることにより、インターンシップ全体に対する信頼性を失わせるようなことにならないことが重要」というのが、経団連加盟企業の申し合わせ事項です。

そのため、まだインターンシップに参加していないからといって、出遅れ感を過度に気にする必要はまったくありません。まずは、あくまでもインターンは就業体験であると「開き直る」ことが大切です。

他方で、そうは言っても、現実には多くの学生がすでにインターンシップに参加し、中には企業の採用担当者から「好意的なフィードバック」をもらっている人がいることも事実です。

しかし実際には、「好意的なフィードバック」を与えた企業側も、その学生に内定を出すかどうかは決めていないことが多いものです。また、仮に人より自分が出遅れてしまったとしても、出遅れた過去は変えられません。

大切なことは、過去は変えられないと割り切って、これからできることに専念することです。実際には、3月1日が就職情報の解禁で、経団連加盟企業の本選考開始は概ね6月1日となるのですから。

ストレス2:志望企業のインターン選考に落ちてしまった

多くの学生から、「志望企業のインターン選考に落ちてしまったので、もう、この企業は本選考を受けても受からないのではないか」という相談を受けます。

その問いに対する私の答えは以下の通りです。「本選考を受けてみれば、わかります」

企業の考え方は、大きく2パターンに分かれます。1つは、「学生が短期間で変わるはずがない」という考え方です。こうした企業は、一度落とした学生に対応する時間があったら、新規の学生にパワーを集中したほうがいいと考えます。

一方、『三国志演義』にあるように「士別れて三日なれば刮目して相待すべし」と考えている企業もあります。こういった企業では、インターン選考時にはNGだったものの、本選考時点ではどうなっているかわからないため、まっさらな状態で見ようとしています

企業がどちらのタイプかは、社内の人も知らない

どの企業がどちらの考え方に即して採用活動を行っているかは、会社の他のセクションの人も知らない人事部の秘密事項です。過去の採用活動の考え方を一新し、ある年から違った考え方にしたがって採用活動を行うことも、よくあります。

そのため、いったん落ちた会社にも、エントリーシートを提出する価値はあります。そして、安心してください。前者の考え方の会社は、その段階で落としてくれますから、かえって他の会社にパワーを注ぐことができるようになります。

いずれにしても、選考の合否を決定するのは、あくまでも企業側です。学生にできることは、合格を勝ち取るために努力することだけです。相手は変えられませんが、自分を変えることはできます。自分を変えることに注力すると、自然と不安やストレスを減らすことができます。

ストレス3:インターンへ参加したものの、成果が出せなかった

インターンに参加した学生からはよく、「成果が出せなかった」という相談を受けます。「グループワークの場で思ったよりも発言できなかった」「グループ内で価値を発揮できなかった」「周りの学生が自分よりもとても優秀に思え、この先、自分が選考に合格できる自信がなくなった」などが典型例です。

実際の選考では、企業側の採用予定数枠をめぐって相対評価で合否が決定されるため、周りの学生に比べて自分の発揮した価値の高低が気になることは、とてもよくわかります。

しかし、グループワークで発揮する価値は、グループメンバーや企業側から課されたテーマによって変わるものです。あるメンバーの、あるテーマのグループワークでは価値が発揮できなかったに過ぎないということもよくあります。

仮にグループワークで価値が発揮できなかったとしても、どのような点に自分の課題があったのかを振り返り、次回は同じ轍を踏まないようにするいい機会だったとも言えます。

いずれにしても、過去や他人は変えられません。大切なことは、過去は過去として、将来の自分にとっての肥やしにすることです。

就活生に知ってほしい2つのストレス対処法

では、不安やストレスに打ち勝つにはどうしたらいいでしょうか。2つの視点から「対策」をご説明します。

対策1:「ABC理論」を理解する

アメリカの心理セラピスト、アルバート・エリスによって提唱されたABC理論という考え方を紹介します。出来事(A=Activating event)を、どのようにとらえるか(B= Belief:信念・思考)によって、感情(C=Consequence)が変わる、という考え方です。

たとえばインターンシップの選考に落ちたという出来事(A)に対して、「自分はもうダメだ(B)」と思えば、暗くなったり、不安になったり(C)します。

他方で、インターンシップの選考に落ちたという出来事(A)を、「自分の課題を考えるいいチャンスだ(B)」と思えば、次回への希望が持て、勇気が湧いてくる(C)のです。

一般に、私たちがある出来事をどのように捉え、解釈し、受け止めるかは、人によって違います。同じ出来事に接していても、その解釈は人によって違います。まったく正反対ということも珍しくはありません。

ABC理論は、「状況が直接感情に影響を与えるわけではなく、『どのようにとらえるか』によって感情が決まる」という点がポイントです。これをマスターすると、不安やストレスに対する抵抗力が増大します。

対策2:認知の歪みを理解する

次に、前出のBelief(信念・思考)に関連して、「認知の歪み」を紹介します。

就活生が陥りがちな認知の歪みは、「過度な一般化」「べき思考」「どうせ思考」「読唇」が挙げられます。以下、簡単にお伝えします。

就活生が陥りがちな認知の歪み「過度な一般化」とは、わずかな事実を取り上げ、それが一般論であるかのように、非論理的に結論づけるというものです。就活生は「すでに2社のインターン選考に落ちてしまった。だから、もうどこからも内定を取れないだろう」などと考えてしまいがちです。これがどれほど非論理的かは、落ち着いて考えれば明らかでしょう。


「べき思考」とは、自分や他人の言動を「こうあらねばならない」「こうすべきだ」と決めつけてしまうことです。「志望理由は、自己の経験と紐づけなければならない」「就活生は10社以上OB訪問をしなければならない」などが典型です。1000人以上の学生の相談を受けてきた経験から断言しますが、それぞれの人によってやるべきことは異なります。「誰でも、どんな状況でも、こうしなければならない」などということはあり得ないのです。

「どうせ思考」とは、実際に何かやってみる以前の段階で、根拠なく自分や人、物事の可能性を限定してしまうことです。「どうせ自分はあの企業には受からない」「どうせ自分はあの先輩のようにうまくはいかない」などがよくあるパターンです。実際には、神様でもないかぎり、受けてみないことには「受かる・受からない」などわかりません

「読唇」とは、相手が何か言ったわけでもしたわけでもないのに、相手の気持ちを勝手に悪く推測することです。「インターンシップで自分はダメと烙印を押された」「人事の人は私をコミュニケーション力がない奴だと思っている」などというケースです。実際には、そんなことは、これっぽっちも思っていないにもかかわらず。

認知の歪みがいかに自分を不安にしているかに気づく

私は、グループワーク講座で毎年、こうした傾向のある・なしを学生に尋ねています。すると人によって思い当たる点は違っているものの、多くの学生が「ある、ある」と答えます。こういった傾向を「ある、ある」と思えれば、実際にこうした認知の歪みが、いかに自分を不安やストレスにさらしているかに気づけるのです。

就活には不安やストレスがつきものですが、「思考の癖」を知ることでうまく付き合うことができます。ぜひ、就活というチャンスを利用して、不安やストレスとの「上手な付き合い方」を会得してください。実際に社会に出た際には、ストレスコントロール法はとても大切な技術なのです。