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●全セグメントで好調なシャープ

シャープ 代表取締役 兼 副社長 執行役員 野村 勝明氏

シャープが発表した2017年度第3四半期(2017年4〜12月)の連結業績は、2017年12月の東証一部復帰後初の業績発表となった。結果は第3四半期累計として4年ぶりの最終黒字となり、同社の経営が成長軌道にあることを改めて裏付けるものになった。

売上高は前年同期比22.7%増の1兆8294億円、営業利益は271.4%増の703億円、経常利益は前年同期の152億円の赤字から711億円の黒字に転換し、当期純利益も前年同期の411億円の赤字から553億円の黒字。シャープ 代表取締役兼副社長執行役員の野村 勝明氏は、「すべてのセグメントで増収となり、特にアドバンスディスプレイシステムは大幅な増収になった。売上高、利益とも、通期予想の達成に向けて順調に推移した」と総括した。

○セグメント別でもそれぞれ好調に推移

第3四半期(2017年10〜12月)の実績では、売上高は全セグメントで2桁の伸長、各利益とも黒字を継続しており、2014年度の第1四半期以来となる5四半期連続での前年同期超えとなった。四半期純利益では、前年同期比で5倍に迫る大幅な増益を記録した。2017年度第3四半期累計のセグメント別業績でも、スマートホームの売上高が前年同期比12.0%増の4396億円、営業利益は78.1%増となる311億円となった。

野村氏は「AQUOS Rを中心に携帯電話が増収になったことに加えて、コードレス掃除機のRACTIVE Air、洗濯機が好調に推移。継続的なコストダウン効果により増益になった」とした。特にフラグシップのAQUOS Rが販売好調で、第3四半期でだけ見れば販売台数が4倍に拡大し、開発工程の効率化なども相まって、収益性が高まっているという。

一方、スマートビジネスソリューションの売上高は4.7%増の2429億円、営業利益が18.6%減の125億円。「サイネージの販売増加に加えて、販促投資の増加により、海外の複合機が好調だった」という。

また、IoTエレクトロデバイスの売上高は20.1%増の3816億円、営業利益が前年同期比2.1倍となる87億円だった。スマートフォン向けカメラモジュールの大幅な増加に加え、センサーモジュールや半導体など独自デバイスの販売増も貢献したという。第3四半期だけでは営業利益が前年同期比9.3%減の51億円とマイナス成長になったが、「これは、新たに開発しているモジュールで歩留まりの影響があったもの」と説明した。

前述の通り、アドバンスディスプレイシステムの売上高については38.7%増の8363億円、営業利益295億円の黒字に転換した。

「タブレットは3倍の成長、車載用は1.3倍の成長となるなど、中型パネルが増加したほか、中国やアジア、欧州で液晶テレビの売上げも伸長し、全体で約2倍になっている。中国では液晶テレビの販売で鴻海グループの販売網を活用。ネットから販売店ルートまで、大型化の流れのなかでシャープの液晶テレビに注目が集まっている」(野村氏)

なお、アドバンスディスプレイシステムの大幅な収益改善は、車載用パネルなど中型パネルへのカテゴリーシフトやIGZO、フリーフォームディスプレイの技術による差別化のほか、コストダウンが寄与したものだという。また、8Kテレビは、日本では2018年3月までに1000台の目標を掲げているが、「ほぼ計画通りに進捗している」と述べた。

○東芝のPC事業のゆくえは?

好調に推移しているものの、通期の業績見通しは10月公表値を据え置き。売上高は前年比22.4%増の2兆5100億円、営業利益は前年比48.9%増の930億円、経常利益は247.0%増の870億円、当期純利益は前年の248億円の赤字から690億円への黒字転換を目指す。

「今後も、これまでの流れを止めることなく事業拡大に取り組み、着実に通期業績予想を達成し、事業に対する投資をしっかり行い、収益力の強化と財務体質の改善を図る。中期経営計画の達成に向けては、2017年度の計画をやり抜くことで、ホップ、ステップ、ジャンプのホップをしっかりとやりたい」(野村氏)

好調な業績のなかで、いくつか注目しておくべきポイントがある。ひとつは、アップルへの依存度の行方だ。会見では、「特定顧客との取引については答えられない」として言及を避けたが、一部報道では2018年1〜3月でiPhoneXの生産が計画比で半減される見込み。シャープにとっても、第4四半期の影響は避けられないだろう。

野村氏は、「カメラモジュールで他社への開拓を進めており、特定顧客への依存率は減ることになる」とする。アップルへの依存度が減少することは、経営の安定的には寄与することになるが、第3四半期の営業利益が前年比でマイナスとなったIoTエレクトロデバイスが、第4四半期にどうなるのか注目される。

2点目は、シャープが東芝のPC事業を買収するという報道の行方だ。

●鴻海の切り札はHPやDELLの生産工場?

この件に関しても野村氏は、「個別企業との取引の話であり、回答はご容赦願いたい」と語り、会見後の同社のPC事業の考え方に対する質問にも言及を避けた。一般的ともいえるこの質問についても、この時点ではなんらコメントをしないことを考えると、むしろ、この話が現実的に進んでいることを感じざるを得ない。

実は、鴻海グループが持つ欧州などのサーバー・PCの生産拠点は、HP.incやデルの生産拠点を買収したものであり、現在もHP.incやデルから受託生産を行っている。サーバーの生産量では、全世界の6割を鴻海グループが占めているとも言われるほどだ。

ただ、PCに関してはデスクトップPCの生産が中心で、ノートPCなどの生産では力不足の印象が否めない。ここに、東芝というブランド力と、かつてノートPCでトップシェアを維持し続けた開発力、技術力が加われば、鴻海グループとしての世界的な競争力が高まる。

東芝のPC事業にとっても、失った自社生産体制を改めて構築できるというメリットがあり、お互いの補完関係が見えてくる。今回の会見で、PC事業に関するコメントをかたくなに拒んだことは、かえって気になる。今後注目しておきたい動向だといえる。

○次期CEO候補は3名の中から?

そして、最後が、2018年1月からスタートした社長の戴 正呉氏と3人の共同CEO体制である。この体制では事業軸と地域軸で担当を分担し、戴氏が事業軸として8Kエコシステムとアドバンスディスプレイシステム部門を担当。地域軸ではASEANおよび米国の8Kエコシステムを担当することになる。

一方で副社長の石田 佳久氏はAIoTとスマートホーム、スマートビジネスソリューションを担当し、地域軸では欧州・米国のAIoTを担当する。また、野村氏はIoTエレクトロデバイス部門のほか、研究開発事業本部、管理統轄本部を担当。地域軸では日本を担当することになる。代表取締役の高山 俊明氏は事業軸で担当がなく、地域軸で中国を担当することになる。

「これは、将来のCEO選出に向けた人材のプールとして実行している」と野村氏は説明。それぞれの共同CEOが事業軸と地域軸で事業責任を持ち、クロスする部分については共同CEO同士が連携を目指す。次期CEOについては、外部からの登用も視野に入れているというが、この3人のなかから選出されることが現時点では有力だ。

戴社長の手腕により、成長軌道に乗ったシャープの今後の舵取りを担う次期CEOの選出に向けた動きは、今後半年間における重要なポイントになりそうだ。