花王の2017年12月期決算は営業利益で初めて2000億円の大台に乗った(写真:花王)

「営業利益が2000億円超える上場企業は国内約3700社中、40社程度。日本のトイレタリー、化粧品メーカーでは初めてのことなのでうれしく思っている」。花王の澤田道隆社長は会見の場で満足げにそう語った。

2月2日、同社は2017年12月期(国際会計基準)の決算を発表した。売上高は1兆4894億円(前期比2.2%増)、営業利益は2047億円(同10.4%増)と増収増益で着地した。営業利益が2000億の大台に乗ったのは同社の歴史の中で初めてのことだ。

利益率が低い化粧品事業

牽引役となったのがベビー用おむつの「メリーズ」を中心としたサニタリー事業や、「ビオレ」や「キュレル」などのスキンケア事業だ。サニタリー事業は国内に加えて中国向けのEC(ネット販売)が着実に伸びたほか、スキンケア事業は「キュレル」の新製品効果や、欧米やアジアでの「ビオレ」の売れ行きが好調だった。


2017年12月期の決算概要を発表する花王の澤田道隆社長(記者撮影)

好調な業績を背景に、花王はM&A(企業の買収・合併)にも意欲を見せる。同社は2006年にカネボウを買収して以来、目立ったM&Aはなかったが、2016年には欧米のインク会社2社を買収。2017年は米国でサロン向けヘアケアブランドを展開するオリベ社をグループ化した。オリベ社の買収金額は非公開だが、海外事業の買収では過去最高額だという。

順風満帆に見える花王だが、頭を抱える事業がある。国内の化粧品事業だ。2017年12月期の花王全体の営業利益率が13.7%なのに対し、ビューティケア事業の同利益率はわずか2.1%にすぎない。

「ソフィーナ」や「カネボウ」などのスキンケア関連製品は競合の勢いに押されて伸び悩んでいる。こうした状況から脱却しようと、2015年からは化粧品改革を実施。製品刷新や旗艦店開業など次々とテコ入れを図ったが、数字を見るかぎりその効果が発揮できているとは言いがたい。

それだけではない。インバウンド(訪日外国人客)を取り込めていないことも大きな課題だ。かつては、花王のブランドである「suisai(スイサイ)」から出した酵素洗顔料が訪日外国人の人気を博したが、それ以降はヒット製品が出てきていない。資生堂やコーセーがインバウンドを取り込む中で、”日本製”という強みもアピールできていない。

ある中国の化粧品専門店オーナーは「日本のスキンケアでは資生堂やアルビオンの人気が高い。花王のスキンケアは他社製品に比べてあまり特徴を伝えきれていない印象だ」と語る。

巻き返しを図る2018年

そこで花王は次の一手として「キュレル」を化粧品事業に組み入れる。「キュレル」は敏感肌用スキンケアで同シリーズの売上高は2012年から2ケタ成長を続ける。


敏感肌用スキンケアの「キュレル」を中心に化粧品の商品構成を拡充していく(記者撮影)

インバウンドも好調で、アジアでの販売も強化している。「キュレル」を組み入れることで化粧品全体の商品構成を拡充し、さらには価格帯によって販売戦略も変えていくという。

さらに新製品の投入に向けた動きも出てきた。2017年はポーラと資生堂が医薬部外品のシワ改善美容液を発売したところ、瞬く間に大ヒット商品となった。「これまで花王でも研究開発を進めてきたが、さらにエビデンスを高めようと一度ひっこめた経緯がある。そのため一番後発になってしまった。シワ取りにかぎらず、よりレベルを高めたインパクトのある製品を出したい」(澤田社長)。

2018年12月期は売上高1兆5400億円(前期比3.4%増)、営業利益2150億円(同5.0%増)を計画する。新年度に入った1月には子会社のカネボウ化粧品と販社を一本化し、美容カウンセリング会社を新たに設立するなど、早くも策を打ち始めている。

国内化粧品市場で巻き返しを図ることができるか。花王の化粧品部門にとって2018年は正念場となりそうだ。