ノキア主催で、次世代の通信技術である「5G」についての勉強会がおこなわれた

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 近年、モバイル業界では「5G」というキーワードで語られる話が増えている。これまでの通信技術とは何が違うのだろうか。今回、商用の5Gサービスの開発に関わるノキアが5Gの勉強会を開催すると聞き、あらためて5Gを学ぶいい機会と思い、参加してきた。

 携帯電話が普及し始めた90年代後半には、2G(第2世代の携帯電話通信方式)でモバイル通信がおこなわれていた。やがてスマートフォンでインターネットを利用する3Gの時代が訪れ、さらには通信速度に優れた4Gが主流となった。では、次世代の5Gは、これまでの進化がそうであったように、4Gの「通信速度」と「キャパシティ」を向上させただけのものなのだろうか。そもそも、すぐに商用化できる段階にきているのだろうか。

ノキアソリューションズ&ネットワークス テクノロジー統括部長の柳橋達也氏

5Gには噂レベルの“通念”がいくつも存在

■5Gの特徴と実現できる世界

 勉強会で解説してくれたのは、ノキアソリューションズ&ネットワークスの柳橋達也氏。柳橋氏によれば、5Gによって我々の生活環境は大きく様変わりする可能性があるとのこと。

 5Gの特徴としてよく語られるのが「超高速大容量(eMBB)」「同時多数接続(mMTC)」「超低遅延(URLLC)」といった性質。「超高速大容量」に関して言えば、5Gでは現在の100倍の速度で大容量通信が可能。これにより高精細な映像をやりとりできるため、電車やバスといった公共輸送では車内向けに4K映像を流すことができ、病院における遠隔診断なども高度な水準でおこなえるようになるという。

5Gの特徴は「超高速大容量(eMBB)」「同時多数接続(mMTC)」「超低遅延(URLLC)」

 「同時多数接続」という観点では、たとえば玄関のドアや家電など、各種センサーと連携したスマートホームが実現できるほか、乗用車に搭載した複数のセンサーによる遠隔車両診断などIoTの取り組みが一層推進できる。また「超低遅延」という性質が、自動運転カーやトラックの隊列走行、リモートオフィスなどを支援することも考えらる。これらはほんの一例に過ぎないが、5Gがモバイルの世界だけでなく、他の産業にも大きな影響をおよぼしていくということが分かる。

 「5Gは4Gの通信速度とキャパシティを向上させただけのもの」とざっくりとした通念で語られることが多いが、具体的に生活に起こり得る変化をイメージしておけば、4Gとの違いが見えてきやすい。

5Gはモバイルの世界を変えるだけでなく、産業の在り方をも変えていく

■5Gは4Gを置き換えるもの?

 5Gはまったく新しい技術で、4Gを置き換えるもの、と理解している人も多いかもしれない。答えはノーで、5Gは、既存の技術の応用と新しい技術の融合によって実現される。「超高速大容量」を実現するためには、4Gで主流だった3.5GHz以下の周波数は使わず、これまで使われていなかった28GHzや39GHzといった高い周波数を利用。電波を飛ばす方法には新しい技術も用いるが、4Gで利用されてきたMassive MIMO(複数のアンテナを用いた通信)や、マルチコネクティビティ・アグリゲーション(複数の電波を束ねた通信)といった技術も応用していく。これは「超低遅延」の実現に向けても同じことが言える。

「超高速大容量」を実現するため、既存の技術と新しい技術を融合する

 また、「同時多数接続」は既存の技術を見直すことで可能になる。現在、4G環境では「信号処理数」や「接続管理容量」が最適化できていないという課題がある。具体例を示すと、モビリティ管理が必要でデータの送信頻度も高いモバイル端末(スマートフォンなど)と、優先順位が低い非モバイル端末(監視カメラなど)を区別できていない。これを区別することで効率化をはかり、同時多数接続に必要な接続コネクティビティ数を確保するという。