求職中の長男35歳に月4万援助で火の車

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「お金に縛られない生活」を手に入れるにはどうすればいいのか。雑誌「プレジデント」の特集「億万長者入門」では、34歳で「お金に不自由しない状態」を実現した田口智隆さんに、20代から60代までの5つの年代ごとに赤字家計の再生法を聞きました。第5回は世帯年収248万円という60代無職夫婦へのレクチャーです――。

■悠々自適の生活を破壊する「息子と車と高級食材」

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60代:久住家の場合

家族構成
夫 66歳 無職
妻 65歳 無職
長男 35歳
長女 33歳
年収
手取り 夫 240万円 妻 8万円
貯蓄額
3500万円


60歳で定年退職後、再雇用で2年間働いてリタイアした夫と専業主婦の60代夫婦。現役時代のままの感覚でお金を使っていたら、月額で10万円以上の赤字に。今後は仕事をせずのんびり暮らしたいが、あと20年あると思うと老後資金が心配。子どもは頼りなく、介護費用も自分たちで賄うつもりだ。

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▼現役時代の消費感覚と、息子への援助が家計を圧迫。

■資産3500万円は夫87歳の時に底をつく

結論から言えば、久住家の老後資金は十分足りると考えられる。夫妻が受け取っている年金は月額で約20万円。現在の家計では約12万円足りず、年間で143万円不足する。不足分は資産を取り崩して賄うことになるが、夫妻には退職金を含めて3500万円の資産があり、単純計算で言うと24年分の不足額が賄える。夫が87歳のときには底をつく計算だが、年齢を重ねれば食が細くなって食費も減るし、マイカーも不要になって車関連費もかからなくなる。医療費や介護費がかかるとしても、支出は減り、90代まで資産はもつだろう。

とはいえ、「なんとかなる」程度では悠々自適な老後を過ごすことはできないし、重い介護状態になったときには介護施設への入居も考える必要がある。それらを考え合わせると、資産を取り崩さず、資産を運用しながら増えた分を使う、という方法をとるのが望ましい。

適した投資先として挙げられるのはリート(REIT/不動産投資信託)と高配当株である。リートとは投資家の資金で複数のオフィスビルなどに投資し、その賃料収益が投資家に配当金として支払われるもの。数万円から投資でき、大家さんのように収益を得ることができるわけだ。株式と同じように売買でき、銘柄によっては利回りが7%台の例もある。高配当株とは、株価に比して配当金の額が多い株式(銘柄)のことで、日産自動車が4.62%、積水ハウスが3.82%、三井住友フィナンシャルグループが3.66%など、大手企業でも3%台、4%台の例が少なくない(7月7日終値による)。

60代で3500万円の貯蓄があれば、500万円は貯蓄に残し、3000万円をリートなどに投資する。年間5%で運用できれば、年間で150万円、月額換算で12万5000円のキャッシュフローが生まれる。つねに5%で運用できる保証はないが、計算上では収益だけで年金で不足する分をカバーできる。

ただし、投資には値下がりのリスクが伴い、株価が下がって投資元本が目減りしたり、収益が減ったりする可能性もある。少しずつ投資資金を回収する(リートなどを売って預金で安全を確保する)のもいいだろう。銘柄が選べない場合は、国内のリート指数に値動きなどが連動するETFを選択肢に加えるといい。私もETFに投資している。

■子供への経済的支援は最長「大学卒業まで」

気になるのは、35歳の息子に援助を行っていることである。求職中とはいえ、心身に疾患があるといった特別な場合を除き、親が35歳の大人に定期的にお金を渡すのは好ましくない。親子で話し合い、期限を設けるなどの対策を考えたい。私の父は他界したが、早い時期から「経済的に支援するのは大学卒業まで。あとは一切援助しない。その代わり、要介護になっても頼らない」と宣言され、私もその覚悟を持った。

車関連費も多いが、これについては節約を勧めない。70代に入ると免許証の返上も視野に入ってくるので、今のうちに乗りたいクルマを手に入れて存分に楽しむことをお勧めしたい。私の叔父は70代になって以降、家電製品を頻繁に買い替えるようになった。「来年生きているかどうかわからない。現時点で最高機能のものを」と楽しそうに笑う。

60代以降の家計は、どう楽しみたいかを考えることを起点にしたい。70代後半になると体力がなくなり旅行などにも行きにくくなる。お金はきれいさっぱり使うのが理想だが、長生きに備えて残しがちである。かなり余裕がありそうなら、子や孫に生前贈与して、富豪への道へ誘うのもいい。

私自身は60代になったら仕事のペースを調整しつつ、気の合う仲間と季節に合わせて国内、海外を旅し、旬の味覚を堪能したいと思っており、そのお金は惜しみたくない。

常に「消費」や「浪費」を減らして「投資」を増やし、スキルアップを怠らずにいれば、お金がお金を生む土台が築ける。富豪の暮らしも手にできるだろう。

富豪の掟●資産はむやみに取り崩さず、運用による収益を使う

(ファイナンシャルインディペンデンス代表取締役 田口 智隆 構成=高橋晴美)