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要約者レビュー

「ダイソーは潰れる、潰れる」「一歩先のことは、ワシには見えない」「村のため池に誰かが浮いていたら、ワシだと思ってくれよ」。これらはすべて、ダイソー社長、矢野博丈の言葉だ。未来を見据えて常にポジティブ、堂々と人をさばくという、世間にありがちな社長の姿と、矢野はかけ離れている。

 100円ショップの巨大チェーン、ダイソーのビジネスモデルもかなり特徴的だ。1円の利益しかない商品をとにかくたくさん売る。1個の商品は100万個仕入れるそうだ。

 矢野とはどういう人なのだろう。そして彼が創業した大創産業とはどのような企業なのだろう。本書『百円の男 ダイソー矢野博丈』は、10年以上にもわたって回数を重ねられた矢野へのインタビューや、大創産業の主要な社員たち、矢野の家族、小学校の同級生らへの取材をもとにしている。矢野の生い立ち、100円の商売を始めたきっかけ、商売の発展と企業としての成長、矢野ならではの人材の育て方などについて、歯切れよい文体で描く。

 商売が軌道に乗るまでの浮き沈みの激しい人生は、あまりにハラハラさせられるので続きを読み進めずにはいられない。また、型破りかつ人情味あふれる人柄が垣間見えるエピソードの数々にも、思わず引き込まれてしまう魅力がある。

 一息に読み終えたあとには、ダイソーのセオリーにとらわれない成功のかたちから、読者はさまざまな気づきを得ることになるだろう。(熊倉 沙希子)

本書の要点

(1) 挫折の多かった矢野の人生で初めてうまくいったのが、トラックでの移動販売だった。値づけが間に合わなかったある日、客に対して、どれでも100円でいいと言ったのが、100円均一の商売を始めるきっかけになった。
(2) 100円の商品を売るときでも、「安物買いの銭失い」といわれるのが嫌で、客に喜んでもらえるようぎりぎりまで原価を高くした。「お客様第一主義」にもとづく品物の良さは、ライバル企業に打ち勝つ力となり、商売は大きく発展していった。
(3) ダイソーの売り上げを支えるのが商品の魅力だ。7万アイテムもあるというダイソーの商品のうち、雑貨の自社開発商品が99%を占める。

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