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プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命保険の創業者・出口治明さんが、読者の悩みに答えます。今回のお題は「心配性の上司」。出口さんは「『報・連・相』は上司を戒めるための言葉ですよ」といいます――。

■Q:心配性で「報・連・相」を重視する上司。最小限の努力で安心させるには?

まず「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は部下に求めるものではなく、上司から探しにいくものである」ということを上司に教えてあげましょう。

――どういう意味ですか?

上司の仕事は部下の顔色や動きをよく見て、気持ちを察することです。ですから上司は「俺にホウレンソウしたそうだな」という部下の気配を感じたなら、別の部屋へ連れていくとか、それとなくランチに誘うなどして、部下のホウレンソウを上手に引き出さなければなりません。

――そもそも上司が「ホウレンソウ」の意味を取り違えているのでしょうか。

若い部下から見たら、年の離れた上司は「鬱陶しいおっさん、おばさん」。これが社会の真実であり、上司が理解しておくべきことです。

――でも職場では、「ホウレンソウが大事」と教え込まれますよね。

そうですね。でも、相談者さんの上司のような人を目の当たりにすると「こんなおっさんにホウレンソウする理由なんて、ゴマスリ以外にないだろうな」と思うでしょう。ではなぜ「ホウレンソウという言葉があるのか」と考えてみると、この言葉が部下ではなく上司を戒めるためにあるということに気づきます。

――ホウレンソウを求める上司は、きっと自分自身も過去にホウレンソウをしてきたんでしょうね。だから余計に部下に求める。

ただ、そういう人はきっとプライベートでもモテないですよね。「1日5回ホウレンソウを」と妻に求める夫など鬱陶しくて嫌がられるだけでしょう。

あなたもパートナーや将来の後輩を苦労させないためにも、きちんと上司の悪いところは自覚させてあげるべきです。

――出口さんは、世の中の常識を覆すようなことをおっしゃいますね。

世の中の常識のほとんどが非常識ですから。

――非常識だとしても、上司にどう伝えればいいのでしょう?

神経質な上司はわりと気が弱いことが多い。一対一ではなく若手5人くらいで上司を酒の席で囲み「部長、ホウレンソウについてなんですが」と、集団で話をしたらどうですか。

――そんなことできますかね……。

僕の講演会は、「10人以上集まればどこにでも伺います」というポリシーでやっています。呼んでいただけたら話しに伺いますよ。「ホウレンソウは自分から探しにいくものだ」と正しい意味を教えてあげれば、あなたの労力は最小限で済みますよね。

――上司を含めて10人以上を集めればいいんですね。出口さん、お願いします!

Answer:「報・連・相」は上司を戒めるための言葉だと教えてあげましょう

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出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険創業者
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、国際業務部長、ライフネット生命社長・会長などを歴任。
 

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(ライフネット生命保険 創業者 出口 治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久 写真=iStock.com)