JDIが開発したフルアクティブディスプレイ(写真: ジャパンディスプレイの発表資料より)

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 米アップルのスマートフォンの最新モデルである「iPhone X(テン)」が想定外の売り上げ不振により、1〜3月の生産量を当初計画から半減させる方向で、部品を供給するメーカーに通達したことが報じられた。

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 不振の理由は様々に取り沙汰されているが、「値段が高い割に革新性が乏しい」というあたりに集約されそうだ。要はコスパの問題だ。毎年発表する新機種に革新性を求められるアップルも大変な役回りだが、トップランナーとしての宿命であろう。

 値段が高くなった理由は有機ELパネルの採用にある。液晶用の有機ELパネルは「蒸着方式」を採用している韓国サムスン電子が独占供給している。製造装置内を真空にしたうえで気化させた発光材料を基板に付着させる工程があるため、製造装置が高価で原材料のロスも大きいという。加えて、装置内に付着した発光材料を洗浄する作業が不可欠であることから連続的な生産が出来ず、効率の悪さも付きまとう。こうして有機ELパネルは高額な製品となってしまった。

 iPhone 8と8プラスは17年9月22日に発売したのに、「iPhone X」の発売が1カ月以上も遅れたのも、生産効率が計画通りに向上しなかったということの証左である。独占供給という優越的なイメージで語られるサムスン電子にとっても期待外れのスタートで、“お披露目”のコストは意外に高くついたのかも知れない。

 iPhone Xのセールスポイントはベゼル(額縁部分)が気にならない“全面スクリーン”と指紋認証「Touch ID」から顔認証「Face ID」への変更である。「Face ID」のため、「ドットプロジェクタ」「赤外線カメラ」「投光イルミネータ」などを新たに搭載した。名称だけでも高くつきそうだ。

 アップルが指紋認証から顔認証に変更した理由は、公式には同社のウェブサイトに記載されている通り「指紋認証よりも顔認証の方が優れている」との判断によるのだろうが、全面スクリーンを実現するために指紋認証と訣別したという見方もある。当時、全面スクリーンと指紋認証を両立させることが、技術的に極めて難しかったのだ。

 ジャパンディスプレイ(JDI)は17年9月26日、縁なし新型ディスプレイ「フルアクティブディスプレイ」を発表した。スマホメーカーはこの製品で液晶のフレーム部分を0.5ミリ程度に抑えて自由に設計できる。このフルアクティブディスプレイはアップルの18年モデルの一部に採用されることが既に見込まれている。

 これに加えてJDIは1月23日、液晶パネル技術を応用した指紋センサーの開発を発表した。センサーを透明なガラスに搭載し、スマホ等の個人認証機能を持つことができる。ガラス基板に電子回路が形成され、透明のガラスがセンサー機能を持つ。

 iPhone Xの見掛けをそう変えず、割安に全面スクリーンで指紋認証ができるという技術がJDIで開発されたことに、潮目の変化を感じるのは早計だろうか?