船舶運航管理支援システム「SOPass」の開発陣

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 「船を建造するのが造船所の本来の事業。ソリューションサービスの開発に理解を得られるか」―。船舶運航管理支援システム「SOPass」の商用化に当たり、船舶海洋カンパニー技術本部の本井達哉基本設計部長は不安に駆られていた。

 同製品の開発は市況の動きに大きな影響を受ける造船事業に、新たな収益基盤を構築する挑戦でもある。モノづくりを生業とする造船部門で「反対の声もあった」と本井部長は開発当初を振り返る。開発を後押ししたのが、世界的に広がるIoT(モノのインターネット)など情報通信技術(ICT)化の流れだった。

 SOPassの開発以前も特定顧客向けに、最適航路計算や主機関の性能解析、船速・燃費解析などを個別提案していた。「個別システムを統合したサービス基盤がSOPassで、必要なサービスを顧客が自由に選べるようにした」(本井部長)。

 従来サービスは収集した船舶のデータを専門家が解析する必要があった。SOPassは、データ解析から将来の予測までを実施。「専門知識がなくても、燃費を含むライフサイクルコストの低減を検討できる」(同)のが特徴だ。

 対応サービスは、電子航海日誌、最適航路計算、状態監視、メンテナンス管理、運航航跡・海気象表示など多岐にわたる。最適航路計算では波風による船舶の揺れなども計算し、最小の燃料消費で目的地を目指せる。本井部長は「船体運動特性を熟知する造船所ならではのソリューションだ」と胸を張る。

 他社にはない液化天然ガス(LNG)船向けの専用サービスも競争力の源泉だ。LNGは運搬中に、貯蔵タンク内部への入熱によってボイルオフガス(BOG)を発生する。

 BOGは船舶の燃料として使用。これを最小の使用量に収めれば、それだけ出荷量を増やせる。「荷主のトレード量の最大化に貢献できる」と本井部長。安定収益が見込めるストック型ビジネスとして、SOPassの可能性は広がるばかりだ。
(文=長塚崇寛)