三井物産が出資したカエタノ・バスの開発チーム(同社公式ページより)

写真拡大

 大手商社が電気自動車(EV)市場の拡大を見据え、技術力のあるスタートアップ企業への投資を加速している。三井物産と住友商事はEVバスや自動運転EVなどのメーカーに出資。蓄電池の分野でも、豊田通商がV2G(ビークルツーグリッド)事業を展開する企業に出資したほか、三井物産も電池のシステムを開発する企業に出資した。蓄電池などの関連事業にも投資し、来るべきEVの波に備える。

 三井物産は17年12月にEVバスを販売するポルトガルのカエタノ・バスに出資した。ポルトガルではすでに商業運転が始まっており、商社のネットワークで販売網を広げる。住友商事も17年12月にカーシェアリング用自動運転EVメーカーの米リヴィアン・オートモーティブに出資。リヴィアンは20年に北米市場で販売を開始する計画。

 一方、豊田通商は17年12月にV2G事業を展開する米ヌービーコーポレーションに出資した。同社は、充電ステーションに接続されている駐車中の車載蓄電池から、電気系統に電気を充放電するシステムを開発しており、デンマークではすでに商業運転に成功している。蓄電池では、三井物産も17年12月に、電池のシステム開発や製造、リユース事業などを展開する仏フォーシー・パワーに出資している。

 豊田通商の加留部淳社長は「EVは技術的に乗り越えないといけないものがあり、市場拡大の可能性は、まだ限定的」と話す。EVは、まだ技術的な課題が多いことから、スタートアップ企業への投資は、技術開発の支援も、目的の一つ。

 また、3社に共通しているのは、いずれも出資比率が低く、出資額も少額であること。三井物産の安永竜夫社長は「EVは大化けしそうなところを選んで先行投資している。未来の事業に投資していると言うことを、株主にはきちんと説明していく必要がある」と話す。

 大手商社は今後、こうした動きを広げるとみられるが、いかにリスクを抑えながら、利害関係者に向けて成果を見せていくか、未来は予測不能なだけに、投資先を選ぶ眼が問われていくことになりそうだ。