ヤクルト復帰が決定的となった青木宣親

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◆ 日本人MLB野手が激減…

 昨季までメジャーで6シーズンを過ごした青木宣親が、古巣ヤクルトに電撃復帰との報道が出た。2011年までのヤクルト時代に3度の首位打者を獲得。日本時代の通算打率はなんと.329という輝かしい実績を誇る青木。昨季セ・リーグ最下位のヤクルトにとっては、これ以上ない大きな補強となった。

 しかし、青木が日本に復帰したということは、メジャーでプレーする野手がイチローだけになったことを意味する。そのイチローも現時点ではフリーエージェントの身。メジャー18年目に備えるが、44歳のレジェンドに具体的なオファーはまだ届いていないようだ。

 イチローは、今季もメジャー契約を勝ち取ることができるのか。それとも屈辱のマイナー契約となるのか。青木と同じように日本に電撃復帰する可能性もゼロではないだろう。メジャーにこだわるのであれば、このまま引退することも十分考えられる。

 イチローがオリックスを退団し、メジャーに挑戦したのは2001年にさかのぼる。新庄剛志(阪神→メッツ)とともに日本人野手として初めてメジャーリーグの舞台でプレー。1年目にMVPと新人王を受賞するなど、メジャーを代表する野手として数々の偉業を成し遂げてきた。そして、そのイチローの活躍に刺激を受けた多くの野手が第二のイチローを目指し、メジャー挑戦を果たしてきた。

 松井秀喜、井口資仁、青木宣親など一定の成績を残した野手がいる一方で、期待を大きく裏切った野手も多かった。しかし、日本時代と同じかそれ以上のインパクトを残した日本人野手は、イチローただ一人だったと言ってもいいだろう。投手に比べると、野手にとってメジャーの壁はかなり高かったと言わざるを得ない。

 このオフ、日米では異例の“大谷協奏曲”が巻き起こった。二刀流・大谷翔平は今季、23歳という若さで投手兼打者としてメジャーデビューを果たす。大谷の獲得に成功したエンゼルスは、現段階ではあくまでも二刀流での起用方針を示しているが、1年目から打者としてもある程度の結果を残さないと、早い段階で“投手に専念”という話にもなりかねない。

 日本人野手のメジャー挑戦はここ数年激減。来季以降、日本人野手の新たなメジャー挑戦、そして、いつの日かイチローに匹敵する野手の出現に期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)