今や社会人の2人に1人が転職している時代。総務省の労働力調査でも2016年の転職者数は306万人。7年ぶりに300万人台の大台に上がったとニュースになり、これからも転職人口は増加予測。

そこで、本連載では、いい転職をした女性と、悪い転職をした女性にお話を伺い、その差は何かを語っていただきました。

池上美和さん(仮名・32歳・岡山県出身)

転職回数……2回
転職した年齢……23歳、26歳
年収の変化……180万円→現在450万円
学歴……国立大学経済学部卒業

退職してから転職先を探してはダメ!

新卒で入ったのは、IT関連の会社でした。サイトの広告営業が主な仕事で、上司や先輩に同行するような仕事でした。訪問先に行くだけで、1年間なんのやりがいも見いだせなかった。男子ばかりがさまざまなチャンスを与えられている気がしていたら、私に営業から総務に異動する辞令が出てしまった。本格的な内勤になる……と思い、すぐに会社を辞めました。

それから第二新卒で入ったのも、IT関連の会社です。会社で働きながら転職活動をすればいいのに、辞めてからだったために「とりあえず内定をくれるならどこでもいい」と、仕事の内容や条件を精査せずに決めざるを得なかったのが問題だったと思っています。明日の生活を心配しながら、余裕のない職探しをすると失敗します。相手に足元を見られるからです。

転職の方法は、サイトへの登録です。主要な転職サイト4つに登録し、条件別に精査しました。登録したその日に、2社から連絡があり、1年とはいえ社会人経験があると、新卒時ほど辛くないんだと思いました。

大手に転職する機会は、第二新卒までだと思え!?

この転職の時に後悔しているのが、「大手に転職しなかったこと」。実感として、ウチの大学(偏差値65)でも、コネと能力がなければ大手への転職は難しい。私は岡山県出身なのですが、親は東京で一人暮らしをすることを反対しており、生活費を自分で稼がねばならない。貯金も当時30万円くらいしかなく、「2か月以内に転職できなければアウト」という状況下でした。テスト対策も面接も、大手を狙う努力をしたかった。それは30代になった今も思います。

大手企業に入った友達の話を聞いていると、本当にいろいろ手厚いんですよね。特別な休暇があったり、住宅手当ほかさまざまな手当てがついたり、福利厚生がよかったり。世界的な研修プログラムに参加できた人もいました。それに会社名を言っただけで誰もがわかる、というのは本当に魅力だと思います。そういうブランドが今とっても欲しいんです。それに、転職も楽でしょう。独立しても「ああ、●●にいらっしゃったんですね」と絶対に尊敬される。大手にいたことがあるだけで、優秀な人材だと大切に扱われる未来が待っています。今も大手に行った友達と話していると、悔しさで発狂しそうになります。

大手に入りたかったが、時間切れであまり有名ではない上場会社に入社するも……

2社目に入ったのもIT関連会社

転職サイトで条件だけで決めた2社目は、上場しているIT関連会社でした。ここは可もなく不可もなくという感じでしたが、東南アジアに支社がたくさんあったので、現地に行けたことがよかった。私は外に出るのが好きで、会社でずっとデスクワークしている仕事だけは避けたかった。それは入社時に人事に希望を伝えました。昔の私なら「なんでも言うコトを聞くのが、いい人材」と思っていましたが、前の会社で「希望を言わなければ、不本意な部署異動をさせられて会社側も私もソンをする」と感じたからです。私が担当したのは、再び広告営業でしたが、今度はひとりで任せてもらえたし、海外の案件も一部担当をすることができて、よかった。

東京の街って歩いているだけでウキウキするじゃないですか。ひとりで外に出ると、余った時間で買い物したり、ちょっとお茶したり、訪問先に行くまでの間の時間で、見知らぬ街でランチするなど、楽しいことだらけ。結果さえ出していれば文句を言われないという社風もよかったんですよね。でもM&Aされて、親会社が銀行出身の経営陣の会社になり、管理体制を強化。それまで日報も外から書けばよかったのに、一度会社に帰って、デスクのPCからじゃないとダメになるなど、社員を在席させるようになり、居心地が悪くなりました。

親会社が変わったとたん、会議のやりかたも変わった。ひたすら数字を言う長時間の会議にうんざりしたという。

「正社員でありながら、行動が自由。結果を出していればOK」という会社を探すように……〜その2〜に続きます