堅実女子のお悩みに、弁護士・柳原桑子先生が答える連載です。本日の相談者は河合茉莉さん(仮名・35歳・公務員)

「3年ほど遠距離恋愛しつつ、週末は私の家で過ごしている彼がいます。彼はどうも結婚の意思がないのに、私の家にダラダラ来ている。ほとんど家にいないのに、ウチにマンガ、楽器、服、CDなどを置きっぱなしにしているんです。

服や靴などはわかるとして、なぜ結婚する相手でもないのに、そんながらくたをウチに置いておかねばならないのか。

そもそも、割高な東京の家賃を払っているのは私で彼からは1円ももらっていません。彼がいる間の光熱費は私持ちで、私は地方にあまり興味を持てないので、彼がいる街には行ったことさえありません。

そこで私は、1年以上彼が手を触れていないモノをすべて処分しました。私が病的にきれい好きなのは彼も知っているし、そもそも不要だからウチに置いているのだと思ったのです。

しかし、先週末ウチに来て、モノがないことに気が付いた彼は大激怒。“なんで勝手なことをしたんだ。同じものを買うなど、何らかの弁償をしてほしい”などと言ってきたのです。

でも、それっておかしいですよね。ずっとほったらかしておいたのに、モノを捨てられたから文句を言うって子供みたい。それでも法的には私が悪いのでしょうか。弁償の義務はあるのでしょうか?」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

「いくら邪魔だといっても、週末に同棲しているという、“現在進行形”で“関係が続いている”ので、無断で処分してしまったら法的に責任があります。

このケースの場合、“弁償やむなし”と考えたほうがいいかもしれません。

質問文からは、“自分は悪くない”と思っているようですが、その理由と根拠がわかりません。

というのも、もし仮に、あなたの荷物を彼が勝手に処分してしまったという逆の立場だったら、腹は立たないでしょうか。使っていなかったとはいえ思い出のモノや荷物を捨てられてしまったら、そういうことをする相手に“別れ”を考えるのではないでしょうか。

さて、現在進行中のケースはどちらの家に置いてある荷物でも、勝手に捨てるのは法的にもダメということがわかりましたが、別れた後はどうなると思いますか?

実は別れた後も、勝手に捨ててはダメなのです。

例えば相手がメールやメモなど「荷物は処分してください」など書いていた場合、荷物の所有権を放棄しているので問題はありません。もちろん口頭だけでもいいのですが、のちのちトラブルになった場合を想定し、録音やメモなどで残しておいたほうがいいでしょう。

モノは財産とみなされますから、所有者が所有権の放棄を証明した文書を残すことが、後に争になってしまった場合、それを解決する有効な手段になります。メモ書き程度でいいのでもらっておくことをおすすめします。

“そういった証拠を持っていないから、これからずっと別れた人の持ちものを保管しなくてはならないの?と不安に思わずとも大丈夫です。

もしトラブルになった場合、“社会通念”というものが考慮されますので、連絡がとれないまま1年以上経過したら、処分を検討してもいいでしょう。

恋人同士であっても、相手の荷物は相手のもの。処分するときは相手の承諾を得てから。



■賢人のまとめ
モノは財産とみなされます。自宅に置いてある恋人の私物を勝手に処分してはいけません。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/