陸上自衛隊HPより

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「自衛隊ができない30のこと 22」

 対北朝鮮のミサイル防衛で配備されているPAC-3やイージス艦は、ミサイルが発射されてもされなくても、「その可能性がある」ということで今この瞬間もずーっと24時間体制で警戒を続けています。PAC-3には護衛がついていますが、当然彼らも24時間対応です。私たちがその存在を忘れている間も、自衛官は絶えず空の異変を警戒し守りについてくれているのです。

 しかし、そんな自衛官の給料は下がり続け、今ではとうとう民間企業平均を下回るようになりました。自衛官には残業手当や休日手当はありません。さらに、今年4月には現給保障もなくなり給料が下がる予定です。民間の景気が良くなるほど自衛官の応募が減り、離職も増えるのは自然なことだと思います。

 自衛官の充足率の低さの問題は、防衛系議員によって国会でも何度も議論されてきましたが、にも関わらず自衛官の給料はずーっと下げられ続け、具体的な対策がなされることはありませんでした。でも、やっとです! 昨年秋の特別国会で、防衛省職員の給与を改正する法律が成立しました。月に704円程度、ボーナスで1625円増という微増なのですが、これまで常に給料を下げるための法律改正ばかりしていた国会が方向転換したことの意義はとても大きいので歓迎したいと思っています。これからさらにこの金額が少しでも上がる方向になれば、隊員の流出にも歯止めがかかるかもしれません。ずっと貧乏ネタばかりだったこの連載ですが、やっと給与増の芽が出てきたという朗報です。

 前の第195国会で、自民党の大西宏幸議員が、自衛隊員の殉職者の数を聞いた後に「そうした厳しい状況にある自衛隊員の勤務の特殊性を考えて、それに見合った防衛省独自の給与体系が絶対に必要だ」と発言されました。これでやっとその特殊性を補う手当についての整備が必要という話が出てきたのです。そうです、自衛官の特殊な手当についても長年ほとんど見直されることはありませんでした。ここはぜひ整備してほしいところです。なんとまあ防衛出動手当の額も決まってないのですよ。ビックリです。

 たとえば、先に挙げたミサイル防衛に携わる人たち(具体的にはミサイルのミッドコースを狙うイージス艦勤務の人たちとPAC-3でミサイルの最終フェーズを狙う人たち、その護衛・支援を行う人たち)は24時間対応で任務に就いています。緊迫した気の抜けない業務ですが、これも少し前までは全く手当がつきませんでした。自衛官には残業手当や休日手当はないのですが、仮にコンビニの平均時給の892円を通常勤務の8時間以外の16時間分もらえるとしたら、金額は1万4272円になります。これに対してミサイル対応の自衛官がもらえる手当は1日あたり1000円です。いくらなんでも少な過ぎると思いますが、これまでは0であったことを考えればこれでも改善であり前進なのです。不発弾の信管除去作業という最も危ない作業をする人ですら、平成22年までは作業手当が1日あたり5200円でした。これが最近やっと上がって1日あたり1万400円に改善されました。テレビなどで紹介され話題になった不発弾の捜索や発掘といった作業についても、1日あたり110円だった手当が750円になっています。それでもこの金額です。対峙している危険の割に報われない額だなぁと思います。

 民間と比べてみましょう。潜水器具を使った作業のうち飽和潜水以外の業務に支払われる手当は310円〜ですが、これが民間の潜水の業務となると、たとえば潜水溶接という海の中での作業だと1日3〜5万くらいが相場になるそうです。自衛隊の100倍以上ですね。これでも少しずつじわじわと値上げしようという動きはあるようですが……。ぜひとも加速してほしいです。