「iPhoneに不満なし」でもスマホ教室に通い続ける理由。シニアのサポートから伝える力を養う(モバイルプリンス)
Engadget 日本版をご覧のみなさま、コニチワ! 沖縄在住のスマートフォン アドバイザー、モバイルプリンスです。

「いつか海外取材に行くような、すごいケータイ ジャーナリストになりたい!」との思いで、携帯電話ショップの副店長を辞めてから4年の歳月が経ちました。

その間、上京することも考えましたが、編集長の矢崎(ACCN)さん(当時はアスキー副編)から「東京で活躍するジャーナリストはたくさんいるから、沖縄で自分にしかできない活動をしたほうがいーよー」とのアドバイスをもらい、現在は地元を中心に活動しています。


▲3年前、売るほど持っているはずなのに、いつも「バッテリー貸して」と頼んでくる某女性社長と、私の人生を決定づけるコトバをくれた(本人が覚えているかは不明)ACCNさん(沖縄にて筆者撮影)久々の執筆になりますが、現在はライター業より「シニア向けスマートフォン・タブレット教室」の講師をメインの生業としております。


▲カルチャースクールや公民館などで継続的に行なっており、40〜80代の幅広い年齢層にスマホ・タブレットの使い方を伝えている


▲西原町のスマホ・タブレット サークルのみなさんと。このメンバーで飲み会をしたり、街を歩いたりすると、私が詐欺師っぽく映るのが悩み

今回は、ひとりの生徒さんのインタビューを元に「シニアのスマホ活用」の最前線(南から)をお伝えしたいと思います。

──お名前と年齢をお願いします

「前仲マサ子、70歳です」


▲70歳は、生徒さんの中ではちょうど真ん中くらい。習いに来るシニアの方たちは、やはりエネルギッシュな方が多く、みなさん見た目も若々しい

──お使いのスマートフォンは?

「ドコモのiPhone 6 Plusです。使い始めて約2年半経ちます」


▲ケースによく利用するお店の電話番号をメモしたシールが......。たまにID・パスワードを書いて貼っている方も

シニアのスマホ選び「店員さん」影響力大

──スマホを使い始めたキッカケは?

「元々ガラケーだったんですけど、息子たち(40代・30代)に勧められて変えました。周りの同世代の方たちと比べても、早いほうだと思います」

生徒さんの挙げる理由で「息子・娘に勧められて」というのは最も多いですね。「最初はいろいろと教えてくれたけれど、何度も聞くと怒られるから......」と、教室に通う理由につながっていくようです。悲しいけれど、私も仕事じゃないところで母親にしつこく聞かれたら面倒かも......息子世代として「申し訳ない想い」もありつつ講座を開いております。
──お子さんたちから「LINE便利だよ」みたいな感じで?

「いや、息子たちもガラケーだったんですよ」

おっと、まさかの「お母さん人柱」案件。ただし、携帯電話料金などは息子さんたちが支払っているとのこと。ステキ! 私も親族になりたい。

──iPhoneを選んだ理由は?

「店員さんに勧めらたというのが一番ですね。画面も大きく、使いやすくてとっても満足していますよ」

実は「どの機種(OS)でも大丈夫ですよ」的なことを言うと、シニアの方が買ってくる端末はAndroid率が高くなるんです。ドコモ「らくらくホン」、au「BASIO」などシニア向けスマホがあることや、富士通・シャープ・京セラなどフィーチャーフォン時代から国民に馴染みあるメーカーの機種が多いことが要因でしょう。iPhoneより学習環境が整っていないが故、私のようなところに習いに来る方も多いと分析しています。

──普段、どのように使ってますか?

「家族や友達と電話やLINEをしています。ガラケーを使っている友達も多いのですが、そういった人にはSMSで連絡しています。ほかにはSmartNewsでニュースをチェックしたり、辞書で漢字を調べたり、YouTubeを見たり......」


マサ子さんのホーム画面大公開




──最もよく使うアプリは?

「YouTubeかな。家にWi-Fiもあるので、パソコンでも見てます」

登録せず利用できるYouTubeはとシルバー層にも大人気。ただし、自宅にWi-Fiがないため月末に少しだけ楽しんでいるという方も多いです。パケットの格差も、また広がっているのが現状のようですね。

──スマホを使っていて「怖い」と感じたことはありますか?

「アプリが本当に無料なのか、取り込む(ダウンロード)際に不安を感じることはしょっちゅうです。先生(モバイルプリンス)に勧めていただいたアプリは安心して取り込めるのですが......」

確かにAppストアもPlayストアも「App内課金」の文字が小さすぎますよね。課金時には認証が求められるとはいえ、巧妙な架空請求も多いですから、決済に関する不安はほとんどの方が抱いているようです。

──スマホを「難しい」と感じる部分は?

「何かやろうとすると、すぐメールアドレスとパスワードを求められるところですね。メールアドレスはともかくパスワードの管理が大変で、いつも入力でつまづきます。そこが一番の壁に感じています」

これは、私の生徒ほぼ全員がぶち当たっている壁と言えます。そのため、「YouTube」以外にも「SmartNews」「radiko」「Abema TV」といった登録不要でインストール後すぐ使えるサービスが継続して広く使われているのがわかります。

iPhoneもiOS 11からパスワード マネージャーがサードパーティー製アプリに解放され使いやすくなりましたが、それでも不十分と私は感じています。この「ID・パスワード問題」さえ解決されれば、スマホや関連サービスのハードルはだグンと下がり、使いやすさのみならず、より幅広い層にビジネスモデルがリーチするわけですから、ブレイクスルーに期待せざるを得ません。

──今後、スマホをどのように使っていきたいですか?

「もう十分満足していますよ。購入から2年経ち、分割の支払いも終わっているので、息子たちに相談してiPhone 8 Plusに変えようか検討しているところです」

こういう方は、迷うことなく「iPhoneなにがしPlus」をずっと使い続けるのでしょうね。

──ありがとうございました

ジャーナリストの池上彰さんはNHK時代、「週刊こどもニュース」で子供たちにニュースを伝えていました。著書「伝える力」の中で番組を振り返り、「子どもたちは当時の私にとって、デスクであり、先生でもありました。大人には通じる"常識"が子どもには通じない。知識も社会経験も、大人に比べると少ないから当たり前です」と述べています。

人生の大先輩であるシニアのみなさんを子供扱いするのは不躾と思いつつも、私も生徒のみなさんから気づかされることが多くあります。

「ラジオを聴くため(アプリの)再生ボタンを押しましょう」 「先生、(スマホ本体を見て)再生ボタンはどれ?」

(YouTubeの見すぎで通信制限がかかった生徒さん)「速度が遅くなったから、写真を削除して容量を空けたのだけど......」

同じ「GB」という単位を用いる「通信容量」と「本体容量」はホント戸惑いの元になっていて、いつも説明に苦労しています。挙句、「あれ、電波マークが4G......あと4GBしか残ってない!」とか。日々、コントのようなやりとりから、スマホUIのあるべき姿を学ばせていただいております。

みなさんもぜひ、親御さんや親戚の方のスマホ使いをサポートしてあげてください。素晴らしいふれあいと新しい発見を通し、応用力ある「伝える力」を養えますよ。