写真:田村翔/アフロスポーツ

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2018年1月21日に行われた全日本卓球女子シングルス決勝は、17歳の同級生同士の戦いとなった。昨年の同大会のチャンピオンである平野美宇を、伊藤美誠が打ち破り、自身初の全日本女王となった。福原愛、石川佳純に続き、十代の選手たちが驚異的なスピードで進化を続けているのだ。2年後に迫った東京五輪に向けて、選手の年齢と層の厚さは、以前にも増して整ってきている。日本女子卓球界は、どのようにして若い才能を発掘し、育成してきたのだろうか。この状況を作った立役者のひとりである、前日本女子卓球監督・村上恭和氏に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド社 田中 泰、構成/椋寛之)

健全な競争が女子卓球を強くしている

――今年の全日本卓球を、どのようにご覧になりましたか?

村上恭和さん(以下、村上) 石川を誰が倒すのかに注目していましたね。

――え、石川選手は日本のエースでは?

村上 そうです。とはいえ、2018年1月発表の世界ランキングでは、石川が4位、伊藤が5位、平野が6位と、実力は伯仲。誰が勝ってもおかしくありません。そして、エース石川に若手が勝つことには、大きな意味があると思うんです。なぜなら、全日本という舞台で、若手が石川を倒せば同世代の選手が自信を持ち、全体のレベルが上がるからです。そして石川は、もっと頑張らなければならないと刺激を受けます。負けることが、石川のプラスになると私は睨んでいるんです。

 僕も卓球選手でしたからわかるんですが、功成り名を遂げた選手がモチベーションを上げていくのはなかなか難しいことです。石川は、オリンピックで2大会連続でメダルを取り、昨年の世界選手権のミックスダブルスでも金メダルを取った。彼女が努力して追い求めてきたことはほぼ全て達成してきたんです。

 いや、ある意味では、達成してきてしまった、と言ってもいいかもしれない。というのは、彼女に限らず、そうなれば誰にだって心のなかに「満足感」のようなものが生まれてしまうからです。その「満足感」を捨て、ハングリーさを取り戻すのはやさしいことではない。今回負けたことで、石川も相当危機感を持つでしょう。これが、彼女のさらなる進化につながるはずです。

――なるほど。その意味では、今回、伊藤が石川を準決勝で破り、決勝戦が「みうみま対決」になったのは、日本女子卓球にとってはよかったのかもしれない、というわけですね?

村上 私はそう思います。

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