「Thinkstock」より

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 2018年も1カ月が過ぎたが、今年から新しい手帳に仕事のスケジュールを書き込んでいる人も多いはずだ。

 ビジネスパーソンに必要不可欠な手帳だが、メモやスケジュール管理のためのツールは、書店などで売られている既成の手帳、システム手帳、スマートフォンやパソコンのカレンダーやメモアプリと、今や多岐にわたる。

 一説には「手帳の種類やサイズで年収がわかる」ともいわれるが、いったいどんな手帳を使うのが正解なのか? 手帳ソムリエの中西雅也氏に聞いた。

●“デキる人”に見せたいならシステム手帳の一択

 近年、手帳は空前のブームとなっており、年間約7000万冊が販売されているという。これを牽引しているのが、「ほぼ日手帳」や「ジブン手帳」といった著名人やトップ営業マンがプロデュースした手帳だ。

 一方、こうした量産タイプの手帳ではなく、システム手帳を自分でカスタマイズして使っているビジネスパーソンも多い。いずれにせよ、種類が豊富でさまざまな選択肢があるだけに、手帳選びに迷う人もいるに違いない。

 では、「年収の高い人」「仕事がデキる人」という観点から手帳を選ぶことは可能なのか。中西氏は、「結論から言うと、デキる人が使う手帳に明確な共通点などはありません」と語る。

「私が過去にヒアリングした、サラリーマンではなく自分で会社を立ち上げているような個人事業主の方々には、システム手帳を使っている人もいれば、誰かがプロデュースした手帳を愛用しているという人もいました。手帳の種類は、その人の仕事のスタイルによって異なります」(中西氏)

 ただし、「見た目のイメージ」というビジュアル面でいえば、既成の手帳よりもシステム手帳のほうがメリットが多いという。

「システム手帳の良さは、なんといっても見た目です。使う人によってカスタマイズされるのでオリジナリティが高く、洗練された手帳を持っていることでビジネスの相手に信頼感を与えるなど、その人のイメージアップにつながります」(同)

「見た目が手帳の良し悪しに関係あるの?」と思うかもしれないが、中西氏によれば、見た目は「かなり重要」だという。ビジネスパーソンは人と会う機会が多く、持ち物がその人のイメージに直結する。イメージを高めれば、その後の仕事を有利かつスムーズに進めることができるからである。

 また、システム手帳は、その成り立ちを考えても上司世代のビジネスパーソンに適している。

 システム手帳が誕生したのは20世紀初頭のイギリス。第1次世界大戦後にイギリス陸軍の将校たちが多数の部下を管理するための情報ツールとして生み出したのが始まりとされている。つまり、当初から「管理する側」に適したタイプの手帳なのである。

「システム手帳は、日常的にたくさんの情報を書き込む必要があったりクリエイティブな思考が必要だったりする人が愛用する傾向があります。カスタマイズ性が高いので、ノートとしての機能を好きなだけ加えることができるのもメリットといえるでしょう」(同)

●目的特化型の手帳は結局使わなくなる?

 とはいえ、システム手帳にもデメリットはある。そのひとつがコストだ。

「既成の手帳よりも価格が高く、使い方によってはリフィルを入れ替えるのに必要以上のコストがかかってしまうこともあります。ほかにも、『中心のリングに手が当たるのが嫌だ』という人もいれば、『紙がちぎれやすい』という声もあります。しかし、こればかりは相性の問題なので、使ってみないことにはわかりません」(同)

 さらに、そこまで多くの情報を扱わないにもかかわらず、デキそうな見た目だけでシステム手帳を選ぶと、持て余すことになるケースが多いという。

 では、既成の手帳のほうがいいかというと、それも少し違うのだ。

「既成の手帳には『営業成績を伸ばす手帳』『夢を叶える手帳』など、さまざまなものがあります。基本的な使い方を1年続けられれば、なんらかの成果は得られるでしょう。しかし、そうした手帳を使う人は、最初はがんばるけれどいつの間にか使わなくなるというケースが多い。ひとつの目的に特化した手帳には、それ以外の目的には使いづらいというデメリットもあります」(同)

 確かに、この手の既成の手帳を持っていて、ずっと使い続けているという例はあまり見ない。「三日坊主」という言葉があるが、多くは途中で離脱してしまうのだ。

●なぜ仕事がデキる人は「手帳選び」がうまい?

 では、いったいどんな手帳を選べばいいのか。中西氏は、「ポイントは手帳の種類やブランドではなく、“手帳の選び方”そのものにある」と指摘する。

「仕事がデキる人たちは、自分に合った手帳を選ぶ能力にものすごく長けています。自分の仕事のスタイルをよく知り、手帳を使う場面を明確にイメージできているからこそ、確実に使いこなせる手帳を自然と選べる。たとえば、私が過去にヒアリングした実業家の男性は、胸ポケットに入る小さいサイズの手帳を愛用していました」(同)

 その手帳には、他人には読めないぐらいの小さな字でびっしりとスケジュールが書き込まれていたという。汎用性はなさそうだが、その人にとってはその手帳がもっとも使い勝手がよく、手頃な大きさだったのである。

 そもそも、多くの選択肢から自分に適した手帳を選ぶことは、仕事の効率化にも通じる行為だ。

「自身の性格と仕事のスタイルをしっかり熟知している人は、仕事がデキて当然です。システム手帳を使うにしろ、既製の手帳を使うにしろ、『仕事がデキる人は手帳選びがとても上手』という共通点があります」(同)

 つまり、「何を選ぶか」ではなく「いかに選ぶか」。スマホアプリで情報やスケジュールを管理している人も、「今よりもっと成長したい」と思うならアナログの手帳を使ってみてはどうだろうか。思いがけず、仕事の成果につながるかもしれない。
(文=中村未来/清談社)