編集長が美容ライターにセクハラ…キラキラ業界にもダークな裏側

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 最新のヘアスタイルや美容サロン、コスメなどを紹介する理美容雑誌の業界は華やかです。その裏では、やはりどの業界でも起こっているセクハラ被害はあるようで…。

「うちの業界紙や業界雑誌の現場はセクハラが多いと聞いていましたが、私も防ぎようのない被害に遭いました」と語るのは、美容ライターの亀井真音さん(仮名・33歳です)。

 亀井さんは4年前から理美容雑誌で仕事をしています。

◆毎週のようにある、派手なパーティの帰りに

「理美容雑誌の編集部に配属されると、40代半ばの編集長と、業界の集まりに頻繁に同行させられました。派手な世界なので毎週のようにパーティがありましたが、これも仕事と割り切りました」

 編集長は長身でメガネをかけた温厚そうな人でしたが、帰りのタクシーの中で口説いてくるようになったそうです。だんだんエスカレートして、手を握られたことも。

「ホテルに誘われるようになると、いよいよヤバいと思って、仕事がありますからと、やんわりと断りました。同行しなければ、セクハラもなくなると単純に考えていたんです」

 ところが…。

「年明けの理美容業界の新春パーティはホテルのホールを借り切ってのド派手な開催。出版社の社長をはじめ、幹部や営業、編集部も参加することになっていて、同行を断れない状況でした」

 遅い時間になったので、複数でタクシーに乗車。次々と社員が最寄り駅で降りていきました。

「最後に残ったのは編集長と私だけでした。するといきなり編集長がタクシーを止めて、降ろされたところが渋谷のラブホ街近辺だったんです」

◆総務まで「編集長の愛人なのかと思った」

「ちょっと休憩しよう」と腕をつかんだ編集長を振り払って、走って逃げた亀井さん。怖くなって翌日は風邪だと言って休み、2日後に出社すると、平然とした態度で編集長が業務をこなしていたそうです。

「これはマズいと思って、昼休みに総務の女性に、編集長の下で仕事をしてきた女性編集者のことをこっそり聞くと、ほとんどが自主退社していったそうです。さらに『亀井さんって、編集長の愛人だから入社できたと思ったけど、意外に仕事、真面目ですよね』と言われたんです」

 さすがにこの言葉にはびっくり!「愛人なんかじゃないですよ」と言い返すと、総務の女性は「そうみたいね」と笑っていたそうです。

◆セクハラの次は、子供じみたイジメ

 そのうえ、総務の女性は、別の部署の編集長と不倫関係にあることを打ち明けてきたそう。この会社は危険だとドン引きしてしまい、さっさと辞めて、次の仕事を探そうと決めたといいます。

「ところが、セクハラの次はパワハラでした。校正紙に赤字(誤りの訂正指示)を入れて戻したのに、『直っていないよ』と編集長。2度も3度も繰り返されるので、これはイジメだと。パワハラを証明するためにスマホで校正紙を撮影していると、『何やっているんだ、業務中に!』と言われたんです」

 編集長にスマホを取り上げられて、画像を消去された亀井さん。そして会社の守秘義務に反する行為とレッテルを貼られて、なんと解雇を言い渡されたのでした。

◆セクハラ編集長が最後に残した言葉とは?

「悔しかったけど、グズグズとここに残っているより、逃げるが勝ちと割り切って、最後の仕事に臨みました」

 それは理美容の新人コンテスト会場での取材。関係者や参加者、その家族、審査員などを多方面から取材してドキュメンタリータッチで執筆するもの。亀井さんにとっても初めてのチャレンジでした。

「私が最後だと思って書き上げた校了紙を手にした編集長は、『こんな多面的な記事、僕には書けない。スゴい筆力だね』とホメてくれたんです。セクハラ&パラハラ編集長も、仕事だけは認めてくれるんだなぁと、ちょっと感慨深くなりました」

 亀井さんはその記事をもって週刊誌に売り込み、現在は記者として活躍中です。

―私達の身近な「セクハラ」 vol.20―

<TEXT/夏目かをる イラスト/鈴木詩子>

【夏目かをる】
コラムニスト、小説家、ルポライター。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆〜恋、のような気分で♪」更新中