Facebookは、ニュースフィードからブランドの投稿を事実上締め出す方針を明らかにした。だが一方で、その影響を回避する方策があると、ブランドに説明している。それは、ニュースフィード設定に以前から存在する「トップに表示(See First)」機能のことで、同社はこれに目を向けさせることで、新しい方針に懸念の声を上げる広告主をなだめようとしている。この機能がオーガニックリーチを増やす可能性があるというのが、Facebookの主張だ。

米DIGIDAYが入手したメールにおいて、Facebookのある幹部は、どのブランドや友人の投稿をニュースフィードで優先的に表示するかユーザーが自ら選択できる、この機能について説明していた。そのうえで、リーチを拡大して実際にフォロワーを獲得するには、ユーザーの生活に「本当の価値」を提供するコンテンツを作成する必要があると、この幹部はマーケターにアドバイスしている。ユーザーがそのブランドのコンテンツを「トップに表示」機能で選択するようになれば、その広告主の投稿がニュースフィードに表示されるようになるというわけだ。

「特に役に立つものではない」



今回の改変により、マーケターが自分たちの投稿を見てもらうには、ユーザーにダブルオプトイン(Facebookページへの いいね! と、「トップに表示」への設定)してもらうことが必要になった。マーケターが広告費を支払わない限り、投稿が実際に表示される保証はない。一部のマーケターは、いいね! を獲得しやすくする目的で以前からFacebookに広告費を支払っている。Facebookが有料広告の利用を奨励していたからだ。にもかかわらず、ユーザーの行動をさらに促す必要があると、Facebookはいうのだ。だが、仮にそのような取り組みをしても、マーケターが投稿した内容を誰かが見てくれるという保証はない。

こうしたアドバイスを「特に役立つものではない」というのは、ディセンバー19(December 19)のオペレーションディレクター、サム・グリフィス氏だ。同社は独立系のメディアエージェンシーで、腕時計メーカーのヘンリー・ロンドン(Henry London)やサプリメントの「アライブ・マルチビタミン(Alive! Multi-Vitamins)」を手がけるネイチャーズ・ウェイ・プロダクツ(Nature's Way Products)といった中小規模ブランドと仕事をしている。

「ブランドの情報を知るために(ニュースフィードの『トップに表示』機能で)わざわざブランドを選択するユーザーがたくさんいるとは思えなかった」と、グリフィス氏はいう。「それに、どのようにしてユーザーに選択を促すのかがそもそも問題だ。ニュースフィードにさらに多くの広告を流すことをユーザーに求める広告を出したいとは思わない」。

有料広告が支配的に



あるマーケティング企業の幹部が匿名を条件に語ったところによれば、小規模企業のFacebookページ(フォロワー数1万人未満)のオーガニックリーチは、しばらく前から10%前後で推移しているという。つまり、ある企業のページに いいね! を付けたユーザーが700人いるのであれば、その企業がFacebookに広告費を払うことなく自社の投稿からオーガニックにリーチできるユーザーの数はおよそ70人だ。しかし、今回の改変によって、リーチ数は事実上ゼロになり、大規模なブランドが長年にわたって苦労している状況にますます近づくことになる。

小規模企業の場合は、「バイラルのパワーとアルゴリズムの類似性」のために、どのような小さな変化も大きな問題になると、中小規模企業を顧客にもつマーケティングエージェンシーのブルーストライプ・メディア・サービス(BLUESTRIPE MEDIA SERVICES)でソーシャル担当責任者を務めるアダム・リボナティロッチェ氏はいう。「(中小規模企業にとって)今回の機能の改変は、歓迎すべき面と困った面の両方をもたらすだろう。歓迎すべきことは、ソーシャル向け予算を増やしたり、(それが無理なら)新しいプラットフォームを試したりする(ことを求める)理由ができたことだ。困ったことは、有料広告がFacebookのページで支配的な力をもつことだ」。

Facebookは、ユーザーがニュースフィードで友人のコンテンツを優先するようになると述べている。しかし一方で、ブランドが自社の投稿をニュースフィードに表示してもらうために支払う広告料のことも念頭に置いているはずだ。今回の改変は、ニュースフィードを目指す競争が激しくなり、そのための費用が上昇するだけの結果に終わる可能性が高い。それだけの金額を支払う余裕のない企業が締め出されるからだ。

Facebookはフェイクニュースに関連した問題への対応を迫られていたが、今回のニュースフィード浄化策は、「有料広告に支払われる金額を増やすだけの結果に終わる」ことになりそうだと、グリフィス氏は指摘する。

Facebookが、500万を超える同社の広告主の大部分を占める小規模企業により多くの広告費を払ってもらいたいと考えていることは、以前から明らかだ。2017年には、小規模企業の「モバイルへの移行」を支援する多くのツールをリリースしたほか、この夏には新たな有料広告利用者を獲得する目的で、アイルランドやナイジェリアで「SME Council」と呼ばれる組織を立ち上げ、新しい広告主を呼び込もうとしている。

変化を強いられるブランド



大規模ブランドのあいだでは、Facebookによるニュースフィードの改変が自社のFacebook向け計画に影響が出ることはないとの見方が支配的だ。パブリッシャーとは異なり、大規模ブランドは数年前から、このソーシャルネットワークに投稿を表示してもらうためにお金を使わざるを得ない状況になっている。

だが、クリエイティブネットワークのプラットフォーム13(Platform13)を創設したレイラ・ファタール氏は、今回の改変は、最終的にブランドに対してFacebookにおけるマーケティング活動の根本的な変化を強いる可能性があると考えている。その理由は、「今後、ブランデッドコンテンツをただ閲覧する、受け身的な消費(視聴)は冷遇される」からだ。

「ブランドはこの数年間、ソーシャル上でビュー数を基準として成功を追い求めてきた。したがって、成功の測定基準が大きく変更されたことが、今後数カ月間でどのような展開をもたらすのかを見るのは、非常に興味深いことだ」と、同氏は付け加えた。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)