故郷の沖縄で行われる2度目の防衛戦に臨むWBC世界フライ級王者の比嘉大吾

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 「デイリー後援・ボクシング・WBC世界フライ級タイトルマッチ」(4日、沖縄県立武道館)

 故郷沖縄で37年ぶりに行われる世界戦でWBC世界フライ級王者・比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=が、同級9位のモイセス・フエンテス(32)=メキシコ=を相手に、日本記録に並ぶ15連続KOでの2度目の防衛を狙う。だが、過去3度の沖縄での世界戦で日本人は全敗。さらに地元凱旋の防衛戦では多くの名王者が敗れるなど、その前には不吉なデータが立ちはだかる。次々と記録を樹立してきたKOキングはジンクスを打ち破れるか。関係者の声とともに可能性を追った。

 そこに住むのは神か魔物か。ボクシング史上に名を残す王者の多くが地元で王座を失っている。地元の定義にもいろいろあるが、ここではボクシングの試合が多い東京、大阪、名古屋以外での例を挙げてみよう。

 1975年7月には茨城出身で世界2階級制覇王者の柴田国明、79年10月には秋田出身でレスリングから転向の工藤政志、81年3月には沖縄出身で現在は比嘉の所属ジムの会長でもある、世界王座13連続防衛の日本記録を持つ具志堅用高、08年12月には広島出身で世界王座4度防衛の坂田健史が地元で王座を失った。

 世界王座11度防衛の内山高志も苦渋を味わった。12年7月、出身地の埼玉県春日部市で5度目の防衛に成功したものの、相手の変則的な動きへの対応に手を焼き、3回負傷判定引き分けで全勝がストップ。さらに17年8月15日には滋賀県湖南市生まれで南京都高出身の山中慎介が、2度目の京都凱旋試合で具志堅に並ぶ13度目の防衛に失敗した。

 なぜ地元防衛戦は難しいのか。具志堅会長は「テンションが上がりすぎて冷静さを失ったり、硬さが残ったりするのかもね」と精神面の影響と見る。内山の所属ジムだったワタナベジムの渡辺均会長も「やはり緊張でしょう。家族、親戚、幼なじみとかが来たりすると、知らないうちに意識するんだろうね。後で内山は『緊張した』とか『足に力が入らなかった』と言っていた」と同じ考えだった。

 それは比嘉自身も理解している。「いろいろあると思いますが、そういうのを意識して戦うことはないです。自分のボクシングを100%出せれば負けることなはい。地元でも気負わず、平常心で」と強調した。

 比嘉を指導する野木丈司トレーーナーは、「全勝全KOの世界王者は日本で比嘉が初めて。沖縄出身の世界王者が初防衛戦でKOしたのも比嘉が初めて。フランス人に世界戦で勝った日本人も比嘉が初めて。沖縄、地元で勝てないのも、比嘉が覆すんじゃないですか」と、その実力を信頼。「1試合ごとに全部進化している。技術もフィジカルも。初防衛戦で見せた左のアッパーカット7連発なんて、日本人ではなかなか打てない」と成長にも手応えを感じている。

 比嘉の勝利は歴史的勝利。そして、沖縄の人が初めて目の前で見る世界戦の勝利でもある。運命の日は2月4日だ。