理事会へ向かう貴乃花親方

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 日本相撲協会は1日、東京都墨田区の両国国技館で1期2年の任期満了に伴う役員候補選挙の立候補を受け付け、定数10人の理事候補に貴乃花親方(45)=元横綱=や八角理事長(54)=元横綱北勝海=ら11人が届け出た。定数を上回り、全親方101人による2日の投票に持ち込まれることが決まった。投票は5期連続。劣勢が予想される貴乃花親方は立候補後、部屋の公式ホームページを更新。協会改革などを訴える声明文を発表した。副理事候補には錣山親方(54)=元関脇寺尾=や兄の井筒親方(56)=元関脇逆鉾=ら4人が立候補。こちらも定数3人を上回った。

 午前11時から始まった立候補受け付け。貴乃花親方は理事では最後の11番目に届け出を行った。前日に行われた弟子の貴公俊の新十両会見時はオールバックだった髪形は何と“パンチパーマ風”に気合の入ったもの。丸刈りにして臨んだ16年の理事長選時と同様、今回も決意の“髪頼み”だ。

 報道陣からの問いかけには「(届けを)出しました。(気持ちは)変わらず」と語った。そして直後に自身の部屋の公式ホームページを更新し、出馬に寄せる思いを檄文(げきぶん)にして記した。

 弟子の貴ノ岩が元日馬富士に受けた暴力事件に始まり、ここ数カ月で相次いだ角界の不祥事に触れ、「国民の皆様の期待を大きく裏切り、社会的な信用を損なった結果、組織としての公益性や透明性が大きく問われております」と指摘。さらに「大相撲とは誰のものか?その公益性の意味を我々は考え直し、正す時期に来ているのではないかと思います」と問題提起した。

 その上で「大相撲一門として自由に意見を交わせる風土を作り上げることを私の目標といたしたい」と決意表明した。

 だが情勢は大苦戦。自身に加え阿武松親方(元関脇益荒雄)と初めて一門から複数が立候補。一門内の基礎票は一門の考えに賛同する無所属の錣山親方らを含めても11票。1月30日の一門会で自身の1票以外は阿武松親方に投じるよう自ら願い出ており、他の一門から賛同者が出てこない限り当選は難しい。

 ギリギリまで他の一門の切り崩し、浮動票の獲得などを模索していたが勝算のメドは立っていない。当選ラインは9票前後。貴乃花親方が初出馬した2010年は立浪一門からの“造反”による3票を得て、逆転当選したが、今回は当時以上に厳しい。だからこそ、この夜、選挙前日に関わらず異例の一門会を開き、情勢分析と結束を確認した。協会批判とも取れるホームページの声明は、“造反票”にかけた最後の呼びかけと言える。

 3時間に及んだ最後の一門会はワインを飲みながら参加した8人の同士と熱く語り合った。阿武松親方は貴乃花親方の様子に関し「終始笑顔で未来について話していた」と明かした。一門の総帥は「あしたです」と一言発して、帰路についた。投票は2日午後2時。「平成の大横綱」が待ったなしの大一番に挑む。