不祥事の相次ぐ発覚で、日本の製造業が大きく揺れている。劣化する製造業が不正の泥沼から抜け出すためには、どんな矜持を持つことが必要だろうか(写真はイメージです)

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 不祥事の相次ぐ発覚で、日本の製造業が大きく揺れている。「ものづくり」の根幹である品質を蔑ろにした不正行為が、日産自動車をはじめ、スバル、神戸製鋼所、東レ子会社、三菱マテリアル子会社など、日本を代表する老舗名門企業で次々と発覚。検査不正やデータ改ざんなど、その多くが「不正」と知りながら組織ぐるみで、しかも長期にわたって隠蔽されてきた、いわば故意犯の不正である点が罪深く、救い難い。

 これは、不正を不正と思わず、問題が表面化さえしなければ「何が悪い」と開き直る、罪悪感の欠如や順法精神の緩みが産業界に蔓延している証拠だ。日本と日本人の商道徳や倫理観が改めて問われている。

 米ハーバード大のエズラ・ヴォーゲル博士が米国経済への教訓として著した著書『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が一世を風靡したのは1979年で、約40年前のことである。それ以来、日本のお家芸であるものづくりは世界の成長モデルとして注目を集め、日本製と言えば高品質の代名詞となった。それは国際社会における日本と日本人に対する信頼醸成にも大いに貢献してきたが、その矜持はどこへ消え失せたのか。日本のものづくりへの信頼が大きく失墜した今、信頼回復の道程は容易ではない。

「ものづくり」の根幹が揺れている
タカタが広げた日本製への不信感

 そもそも、日産、神鋼、スバル、東レ、三菱マテといった一連の不祥事が発覚する以前に、「日本製は高品質」という定評に水を差し、国際市場で日本製への不信感を一気に拡散させたのが、タカタだった。同社は自動車向けシートベルトなどの安全部品で高い世界シェアを握りながら、欠陥エアバックの異常破裂で死亡事故まで引き起こした。昨年6月に東京地裁に民事再生法の適用を申請、最終的な負債総額は1兆円超の見通しで、製造業では戦後最大の経営破綻となった。

 優良企業が経営破綻にまで追い込まれた原因は、ひとえにトップ層の優柔不断な経営姿勢にあり、タカタは不祥事対応につまずき失敗した典型である。自らの不祥事に対し、真摯かつ謙虚に対峙することなく、説明責任も十分に果たせないまま、世論に背を向け、自社の論理を優先し、拘泥しているうちに、打つ手のすべてが後手に回ってしまったためである。

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